立茎アスパラ 栽培技術確立 道南農業試験場

update 2012/3/7 11:29


 道総研道南農試(北斗市本町)は、立茎アスパラガスの道南版として周年被覆ハウスを利用した栽培技術を確立した。周年被覆型は、高収益かつ軽量野菜として特に桧山管内で栽培面積が伸びており、新技術を今後、農家での安定生産に役立てる。同農試は「研究成果を活用すれば、より太い(=高単価)アスパラが10アール当たり3トン取れる」としている。

 立茎アスパラは、春芽だけでなく、茎の数を少なく成長させることで夏芽も収穫できる。冬季にビニールをはがす露地越冬ハウスで渡島、桧山、上川、空知管内などで生産されている。一方、少雪温暖な道南では年中ビニールを張る周年被覆ハウスを導入、特に桧山では町などの支援もあり面積を増やしている。露地越冬ハウスでの栽培法は道総研花・野菜技術センター(滝川市)が既に確立しており、今回道南農試の研究により周年被覆ハウスでの栽培法が初めて明らかになった。

 同農試は2007〜11年度の5カ年計画で、定植時期、最適な春芽収穫日数、窒素施肥量などを探ってきた。同農試のハウス3棟を中心に乙部町、七飯町の農家の協力も得て試験を行った。

 その結果、5月に定植することが最も望ましいことが分かった。6月定植は、2年間収量が低くなる。春芽の収穫日数は2年生株が10〜20日、3年生株が30〜45日、4年生株以降が35〜45日とした。この日数を守って立茎作業をしないと夏芽の収量が減り、春芽の収量も少なくなる。立茎位置のバランスを取り、太い親茎を選ぶことも重要。これにより収量は増えないが、夏芽、春芽ともに太くなる。窒素施肥量は露地越冬ハウスと同じ10アール当たり45キロを投入する。これまで農家は収量を上げるため経験的に50〜60キロほどを施肥していたが、試験により標準施肥量を示した。

 桧山のトップレベル農家が年間10アール3トンを超える量を取っていることや、同農試の試験でも4年生株以降でほぼ3トンをクリアしたことから「目標は春夏合計10アール当たり3トン」と設定した。

 同農試の菅原章人研究主任は「3トン取れれば経済性が非常に良い。施肥量、親茎のバランス、収穫日数を守ることで株を長持ちさせてほしい」と話している。

提供 - 函館新聞社


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