【震災1年】ベイエリア津波対策模索 土のう増やし商品などを高い場所に
update 2012/3/6 12:30
函館でも2メートルを超える津波が押し寄せた東日本大震災。西部地区のベイエリア周辺は冠水し、建物や車の損傷被害が多かった。津波対策を考えて復旧工事をしたり、土のうの数を増やした企業などはあるが、津波に関する対策は模索中のところが多いようだ。
函館海洋気象台によると、西部地区の津波の最大の高さは大町で2・6メートル。金森商船(末広町)では約1・2メートル冠水した。同社はこれまでも台風などで浸水しており土のうを用意していたが、震災後は数を2倍に増やした。倉庫の中ではリフトで運びやすいようにパレット上に置き、運ぶ場所を袋に明記している。「建物入り口前には土のうだけでなく、板も置き二重にする」と同社。このほか漏電防止のため、コンセントを高い場所に移動させたところもあるという。
函館国際ホテル(大手町)では、土のうの数を約3倍に増やした。同ホテルでは駐車場にあった多くの宿泊客や従業員の車が浸水被害に遭った。「海抜の高い函館山のふもとで、車を移動する場所を探すことを考えている」と同ホテル。地震発生当時は外出した宿泊客の所在が分からなくなることもあり、「震災で残った課題は多い。早急に対策を考えたい」としている。
市水産物地方卸売市場(豊川町27)では駐車場フェンスが倒壊したため、復旧時に基礎部分をしっかり固めた。「津波対策で施設面を大幅に見直そうとしても、費用の問題がある」と同場。はこだて海鮮市場本店(豊川町12)では「商品やレジ機械の場所を高くしたが、浸水を防ぐのは建物の入り口が多く、大きな対策を取るのは難しい。客と従業員の安全確保は徹底している」と話す。
梶原昆布店(豊川町23)は、これまでなかった土のうを用意し、作業機械の場所を高くした。「これだけの対策では足りないだろうが、どうすれば万全なのかは分からない」と同店。豊川町のある飲食店では「昨夏に土のうを買ったが、外に置いていたら雪で埋まり、今は使えない。店を元に戻すだけでも大変だったのに、土のうを置く場所を確保するのに、また苦労しなければ」とため息を交えた。
いずれも浸水の被害から立ち直るも、これらに掛かった費用や落ち込む観光客の対策で多くの時間を費やしてきた。津波を含めた本格的な防災対策を考えるのは、今後の課題になっている。
一方、函館市地域交流まちづくりセンター(末広町4)は、市の避難所ではないものの、避難してきた人への対応や、道内で大きな災害があった場合、支援活動をする団体との連携を検討していく。「被災者、支援者両方に対する対策が重要」と説いている。
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