元の生活 まだ遠く 中手さん福島の現状語る

update 2012/3/4 10:11


 福島県の子どもたちを一定期間受け入れる保養地としての役割や可能性を探る学習講演会が2日、函館市地域交流まちづくりセンターで開かれた。「子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク」の中手聖一さんが、福島第一原発事故後の1年間の様子を紹介した。

 中手さんは福島市在住。原発事故後に家族を県外に避難させた。同ネットでは、被ばくへの不安を持つ人たちに、自主避難を呼び掛けるなどの活動を進め、現在は、健康管理と医療を受ける権利、避難する権利などを柱とした法律の制定を求めているという。

 県内の現状について、表面上は元の生活を取り戻したかのように見えるが、放射線量の高い地域が依然として存在し、除線も効果的に進んでいないと指摘。健康被害の問題についても、低線量被ばくの問題を過小評価していると主張した。

 昨年秋ごろから、県外への避難の話題がタブー視されているとし、中手さんは「すべての福島の人が現状を受け入れたわけではない。必死で子どもを守ろうとしている親がいる」とした。さらに、「脱原発はエネルギー問題ではない。二度と福島のような思いをさせない社会をつくることが脱原発です」と話した。

 続いて、「東日本大震災市民支援ネットワーク・札幌むすびば」の永田勝之さんが、札幌で準備を進めている福島の学校を児童・生徒、教師を含めクラス単位で一定期間受け入れる「ローテーション保養」の構想について説明した。

 講演会の実行委では、道南で保養地としての仕組みづくりに向け、今後も学習会を重ねる。問い合わせは、NPO法人大沼・駒ケ岳ふるさとづくりセンター電話0138・67・1726(穴沢剛行さん)。

提供 - 函館新聞社


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