志海苔古銭 初公開
update 2012/2/26 13:01
市立函館博物館(函館市青柳町)に所蔵されている国の重要文化財(重文)「北海道志海苔中世遺構出土銭」について紹介する企画展が25日、同博物館ロビーで始まった。国内最大の出土枚数を誇る古銭の保存修理が終わり、重文指定時よりも1万枚以上多い計38万枚となってから初めての公開で、函館ゆかりの中世ロマンを伝えている。
志海苔古銭は1968年、市内の志海苔漁港付近の国道の拡幅工事の際に見つかった。前漢から明にかけての中国銭が中心で、一部には奈良から平安時代に鋳造された和銭も含まれ、全部で37万4435枚。同時に発見された3つの大がめや敷板とともに、2003年に国の重文指定を受けた。
これらの古銭はいつ、誰が、何のために埋めたのか。明確な根拠はないが、同館によると、古銭が入れられた大がめの特徴や、出土場所が和人豪族の館とされる「志海苔館(だて)跡」の近くにあることなどから、14世紀(1300年代)後半との見方が有力だという。
大量の古銭について、同館の田原良信館長は「函館が特産のコンブの交易で京都などから手に入れた備蓄銭や、地鎮祭など宗教的なささげ物だったかもしれない」と指摘。本道にとっては後の北前船交易の先駆けだった可能性もあり、いまだに謎は多いが、当時への想像力もかき立てる。
市は2004年度から文化庁の補助事業で、出土した全点を一枚一枚、表面のさびを落とすなどクリーニングを行い、その後は確認作業を進めてきた。その結果、少なくとも計93種、38万7514枚(1・6d)に上り、最終的には昨年11月に作業が完了した。
展示会場には古銭の表面の文字まで判別できるようになった93種類の古銭をはじめ、3つの大がめや、土が残ったまま古銭の中心穴に麻ひもを通した状態でつなげたものなど貴重な史料を展示。発見当時の新聞記事や保存修理の手順などを紹介する写真パネルも並ぶ。
同展は4月15日まで。2、3月は午前9時〜午後4時半(入館は午後4時まで)。月曜休館。入館料は一般100円、学生と65歳以上は50円。日曜は無料。問い合わせは同館TEL0138-23-5480。
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