啄木没後100年 再認識を…研究家・桜井さん講演

update 2012/2/5 13:05


 今年没後100年を迎えた函館ゆかりの歌人、石川啄木を再認識してもらう文学講座が4日、函館市文学館(末広町)で開かれた。啄木研究家の桜井健治さん=函館在住=が講師を務め、2冊の歌集の特徴や晩年の啄木の変化について語った。

 市文化・スポーツ振興財団が毎年開いている「石川啄木連続講座」の第1回目で、市民約40人が参加。この日は歌集「一握の砂」「悲しき玩具」をテーマとした。

 最初に「一握の砂」を取り挙げた桜井さんは、啄木がそれまでの「1首1行」から「1首3行」に編集した意図について「単純な1行の歌よりも、3行に並べることで意味内容に奥深さやリズム、間が生まれる。それを狙ったのでは」と指摘。551首ある作品鑑賞の注意点として、啄木が上京していた1908(明治41)年以降に全ての歌が作られた点とし、「都会生活の哀歓を詠んだリアルな歌、故郷の盛岡や北海道を思う望郷の歌に大別できる」と紹介した。

 1912(同45)年発刊の「悲しき玩具」については、10首を実際に取り挙げた上で「困窮していた生活や自分の病気など現実を見つめたものや、政治、社会に対する鋭い洞察が見られる。『一握の砂』のような叙情性は消えている」と説明した。

 同講座2回目は3月3日午後2時を予定している。

提供 - 函館新聞社


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