「バス」一転「鉄道維持」…江差線並行在来線対策協
update 2012/1/20 11:29
2015年度の北海道新幹線開業に伴い、JR北海道から経営分離される江差線五稜郭―木古内間(37.8キロ)の運行形態を協議する、第7回道南地域並行在来線対策協議会が19日、渡島総合振興局で開かれた。道は昨年10月の前回会合で示したバス転換から一転して鉄道維持を提案するとともに、JR北海道からの支援などを得て、30年間で約18億円の赤字圧縮が可能との見解を示した。一方で「1対1」に設定した負担割合の見直し案は示さず、道は2月に提示する方針を示した。
協議会には道の高井修副知事と工藤寿樹函館市長、高谷寿峰北斗市長、大森伊佐緒木古内町長が出席。高井副知事は新幹線札幌延伸に関し、並行在来線の経営分離に同意した自治体への謝意を述べるとともに、江差線について「地域の足を考えるとバス転換は問題があるとの意見があった。鉄道方式で経費縮減がどの程度図れるのか検討してきた」とあいさつした。
道はその上で、昨年12月に試算した収支の見直し案を公表。鉄道方式では当初、30年間の累積赤字額を69億5000万円と見込んでいたが、JRに対し鉄道資産や中古車両の譲渡などを要請し、同社から簿価による有償での譲渡や、第3セクター開業時の出向者派遣などの回答が得られたことを明らかにした。
これら支援策を踏まえ、30年間の赤字額は約18億円圧縮され51億6000万円、開業から10年間では15億1000万円と推計。開業当初から赤字経営が見込まれるため、道は「開業後一定期間が経過した段階で、事業形態を再検討する」とした。
3市町は鉄道維持方針を歓迎するとともに、負担割合の早期提示を求めた。高谷市長は「鉄道を検討していただけるので全く異存はない」と評価した一方で「まだ圧縮できる。並行在来線そのものの支援を手厚くしてもらうよう、国に求めてほしい」と要望。工藤市長も「鉄道方式は歓迎するが、函館―新函館の分離で難渋したのは、道の負担がはっきりしないから。道が主体的役割をしっかりと果たしてほしい」と注文した。
また、大森町長は「負担割合『1対1』を見直す提案がなかったのは寂しい。決まらなければ、住民への説明ができない」と訴えた。
道は今後、2月中旬をめどに協議会を開いて新たな負担割合を提示、3月に方向性を決定する方針。
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