「タマフクラ」首都圏出荷にめど 特殊包装フィルムで鮮度保持

update 2012/1/17 11:53


 道南で普及が進む超大粒大豆「タマフクラ」を生エダマメで市場出荷する際に、鮮度保持フィルム「MA包装用ポリプロピレンフィルム=MA包装」を使うと、汎用(はんよう)タイプ「一般ポリプロピレンフィルム=OPP包装」に比べ、さや色や食味の低下を抑えられることが、渡島農業改良普及センター(北斗市東前)などの調査で分かった。流通時のエダマメの温度が20度前後に上昇することも判明、低温管理が今後の課題だ。産地のJA新はこだて森基幹支店は「生エダマメの首都圏への出荷にめどが立った」と手応えを感じている。

 エダマメは常温だと鮮度の低下が非常に早い。同JA森町タマフクラ生産部会(河野芳之部会長、8戸)は2009年から、だるま食品本舗(函館市西桔梗町)と冷凍用エダマメの契約栽培をしている。昨年、首都圏などの市場から「タマフクラの生エダマメを扱いたい」との問い合わせがJAを通じあったため、同部会は販売の多角化を目指し同9月から試験出荷を始めた。

 しかし、首都圏への出荷は、消費者の口に入るまで2〜5日間を要する。そこで「おいしいまま食べてほしい」と考え、同普及センターと同支店が主体となり、道立工業技術センターの協力を得て、流通時のエダマメの温度変化と、包装資材による鮮度変化、食味について調査した。

 MA包装は、包装内の酸素を少なくして二酸化炭素の密度を高く保つフィルムで、青果物の鮮度を保つことができる。

 温度変化は、予冷庫出庫から市場での競り開始まで1時間ごとの温度を測定。調査結果によると、エダマメの温度はMA包装、OPP包装とも15〜21度の範囲で推移し、低温管理がされていなかった。

 鮮度変化と食味評価は、実際に流通しているものは調べられないため、サンプルを用いて包装2日後、同5日後のそれぞれ5度、10度、20度の保管条件でさや色と食味を調査した。調査結果では、MA包装をしたエダマメのさや色はいずれの温度も包装5日後も鮮度を保持。OPP包装は包装5日後に20度で黄色化が進み、鮮度が悪くなった。

 食味評価では同普及センター職員がゆでたエダマメを試食したところ、MA包装はOPP包装に比べ、食味の低下を抑えられたが、20度ではMA包装でも包装5日後には食味低下が見られた。

 MA包装による出荷は、市場から「さや色などの鮮度が長持ちし、お客からのクレームも少ない」と一定の評価を得ており、今季も取引を希望する声がある。ただ、MA包装用フィルムはOPP包装用フィルムの3倍のコストが掛かる。

 同普及センターの日根修専門普及指導員は「MA包装が鮮度保持に有効だと分かった。コストは掛かるが、エダマメは品質が命。今後も消費者が求める高品質なエダマメ出荷につなげていきたい」と話している。

提供 - 函館新聞社


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