市電・バス乗車料金助成制度見直し案に市民ら賛否
update 2011/12/29 10:55
9月の事業仕分けで廃止判定され、来年度から一部で助成上限を設定するなどの見直し案が示された市電やバスの乗車料金助成制度。対象が旧4町村にも適用され利用範囲が広がった一方、市民からは高齢者に対して年度6000円の助成上限額を設けることに対し、否定や困惑の声も上がっている。
市は1973年から交通機関の利用助成を開始。現在は70歳以上の高齢者と障害者に市電・バスの半額または無料利用書を交付している。見直し案では対象が市内全域になり、高齢者は上限を定め半額利用証方式から専用プリペイドカード方式へ移行する。
市は上限を設けた理由について、「高齢者の増加に伴い、厳しい財政状況の中で持続可能な制度とするため」と説明。新制度移行に伴う助成額は市電約9000万円、バスは約2億円となり、合計で現行制度と比べ約1億3000万円の経費縮減となる見通しだ。これにより生じる財源の一部は既存の子育て支援事業や高齢者事業に活用するとしているが、高齢者の声は深刻だ。
週3回ほど、市電とバスを利用しているという本通の82歳女性は「消費税がまた上がると言われているし、昔より高齢者に多く負担がかかっている。これ以上、年寄りをいじめないでほしい」と訴える。通院にバスを利用している湯川町の73歳男性は「市は地域内の生きがい活動に利用してほしいと言っているが、病院に通わなければ病気が悪化して生きがいどころではなくなる」と声をとがらせる。
一方、大川町の76歳男性は「できれば現行のままがいいが、市の事情もある。心苦しい気持ちもあるが、やむを得ないと思う」と渋々、是認する意見も。
また見直し案について、周知不足の感も否めない。今月上旬に現行制度の維持を求める陳情書を提出した新日本婦人の会函館支部の工藤時子支部長(72)は「市民の声がまったく反映されていなく、説明の機会も設けられていない。会員の中では知らない人が多く、怒りの声もある。拙速に進めないでほしい」と話す。
新たに対象に加わった南茅部地域の安浦町に住む70歳男性は「車がなくバスを利用する人は山ほどいる。適用されれば私たちにとってはうれしい」と喜ぶ。一方で「新制度の話は老人クラブの仲間を含め、耳に入っていなかった」と困惑を隠せない。
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