高橋病院、IT活用した高齢者見守り事業の実証実験
update 2011/12/29 10:55
高橋病院(函館市元町32、高橋肇理事長)は本年度、スマートフォン(多機能型携帯電話)やデジタルペンといったIT(情報技術)を生かし、在宅高齢者の日常生活動作(ADL)を管理、支援する「地域見守りサービス事業」の実証実験を行っている。生活不活発病(廃用症候群)の兆候をいち早く察知し、適切なケアやリハビリにつなげて心身機能の低下を予防するのが狙い。来年4月にも本格実施をしたい考えだ。 (鈴木 潤)
経済産業省の「ITを活用した医療・介護周辺サービス産業創出調査事業」を、病院単独で採択を受け、実施した。同事業では高齢者宅と院内設置の「見守りセンター」をインターネットで結んで情報のやりとりをする。
ITに不慣れな高齢者でも簡単に操作できるよう、端末のデジタルペンと住宅のコンセントに差し込める「超小型ホームサーバー」、専用の記入用紙を利用者に支給する。
記入用紙には「きょうの体調はいかがですか」「食事は食べましたか」などの質問事項があり、利用者がデジタルペンで記入するとサーバーを通じてセンターに送信される仕組みとなっている。また、スマートフォンの所有者は、利用開始の際に専用のアプリケーションソフトをインストールするだけで利用が可能となっている。糖尿病患者に対しては血糖値や血圧などを記入するとグラフ表示される機能もある。
情報を受信した見守りセンターは、利用者の状態に異変が見られる場合、病院の主治医や看護師、在宅サービス事業所のケアマネージャーら関係職種に連絡する体制をとっている。
将来、センターは全国展開を踏まえ関西地区にも設置する予定。今のところ、要支援・要介護者や、急性期病院を退院し在宅生活に移行した患者を対象に行う考えだ。
実証実験では現在までに、50人が利用していて、市内宝来町の80代男性は「難しい操作が必要ないので便利。見守られているという安心感がある」と話す。
同病院は今後、効果や課題を検証しながら市内のNPO法人などとも共同で買い物支援も含めたサービスを展開していく予定。利用料金の設定も検討していく。
同病院は転院や施設入所、在宅移行などがスムーズに進むよう、地域医療連携システム「ID―LINK」を活用しながら患者の情報を一元化し、共有する体制もとる。こうしたシステムとも連動しながら地域全体でも連携構築や情報の共有化をさらに進めていく方針だ。
在宅の療養者は、訪問看護やホームヘルパーなど医療や介護双方のサービスを受けているケースが多い。だが、医療・介護の関係者は患者の情報を十分に共有せずに動いていると指摘されている。高橋理事長は「ITの活用で情報共有が容易になり、患者、家族を中心としたより有効な関わりが可能になるはず。コーディネートする役割も果たしながら、ビジネスモデルとして構築していければ」と話している。
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