函館駅―新函館駅経営分離問題 函館市年内結論へ正念場

update 2011/12/1 10:41


 北海道新幹線の札幌延伸時にJR北海道が函館駅―新函館駅(仮称)間17・9キロを経営分離する方針を示している問題をめぐり、函館市は正念場に立たされている。国土交通省は年内に整備新幹線未着工3区間の是非を判断する意向を示し、新函館―札幌間早期着工への機運が高まっている一方、工藤寿樹市長がJRの方針に一定の理解を示したことに対し、地元経済界が猛反発。地元には道の対応に対する不信感も根強く、結論を見いだすのは困難な情勢だ。

 JRの経営分離方針に対し函館市は昨年、西尾正範前市長が反発。昨年9月には市や函館商工会議所、市町会連合会などが合同で経営継続を求める約11万人の署名を集めて同社に提出し、道に調整を求めた。

 一方で、今春就任した工藤市長は「鉄路を残すことが最優先」と主張。11月24日の定例会見では「事業主体をJRと限定するつもりはない。柔軟に考えたい」「JRがやりますという話は99%ないと思っている」と発言。第3セクターでの運営も「うまくやれば黒字になる可能性はある。赤字が生じても数千万の範囲ではないか」と一定の理解を示したことで、JRによる経営継続を一貫して主張してきた経済界の反発を生んだ。

 ある市幹部は「現実を見据えた発言だったが、経営分離を容認したととらえられ、(道や国に)外堀を埋められてしまった」と話す。市議会は昨年5月に経営継続を求める決議を行っているだけに「市長が代わってもこれまでの経過がある。引き継ぐものは引き継がないと」(ベテラン市議)との声もある。

 道は昨年6、9月にJRに経営分離の再考を求めてきたが、「JRによる経営継続は困難」と回答してきたのは、それから1年以上たった先月24日。回答を受けて28日に開かれた市議会総務常任委員会では「本当に道が真剣に取り組んできたのか疑問。道は責任を取るべき」「やっぱりやめるとかバス転換とか、努力だけでは困る」と、道への手厳しい声が上がった。

 地元にはこれまでの新幹線誘致をめぐる苦い記憶がある。新幹線新駅は札幌延伸を見据えた中で北斗市(旧大野町)に建設され、新駅―現駅の交通アクセスに関し「短絡線方式などで現駅に乗り入れる」として94年に道と交わした覚書は、05年の確認書で「現実的には困難」として破られた。

 道は市に対し、鉄路維持に向け最大限の努力をすると回答したが、「いかようにも受け取れる内容。これで住民が納得するわけにいかない」(ある市議)と不信感は募る。

 札幌延伸に伴う経営分離で「3セク化されたら、街は必ず縮小する」(経済界関係者)との声がある一方、日本の国土軸を完成させる意味では延伸が必要不可欠。これまでオール北海道で建設促進運動に取り組んできた経緯もあり、「函館が孤立してはならない」(保守系市議)との危惧は強い。年内とする国の方針決定に向け、予断を許さない状況が続いている。

提供 - 函館新聞社


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