函館市が函館―新函館の経営分離同意

update 2011/12/22 10:48


 北海道新幹線札幌延伸に伴い、JR北海道が函館駅―新函館駅(仮称)間(17・9キロ)を並行在来線として経営分離する問題で、函館市の工藤寿樹市長は21日午前、市役所で会見し、経営分離に同意したことを明らかにした。JRが分離方針を示している函館―小樽間(253キロ)の全15の沿線自治体が同意したことで整備新幹線着工の条件をクリアする足並みがそろい、新函館―札幌間は来年度にも着工する見通しとなった。工藤市長は「市民の思いとオール北海道で延伸を求めるはざ間の中で、熟慮に熟慮を重ねた上で市長として判断した」と述べた。

  工藤市長は同日午前、高井修副知事に経営分離への同意を電話で伝えたと報告した。

 函館―新函館経営分離をめぐり、道とJRは今月13日、@第3セクター設立と運営に関して道が主体的な役割を担い、最大限の努力をするAJRは新函館開業時に同区間を電化し、札幌開業時に運行を受託する―などの条件を提示していた。同市長は経営分離受け入れの理由として「知事の決意も直接聞き、全国の3セクにない具体的内容を伴った提案」と評価、「これ以上の支援、協力が難しい中で一定の評価に値する」と話した。

 市は昨年、西尾正範前市長が経営分離に猛反発。函館商工会議所、函館市町会連合会などと合同で11万人の署名を集め、JRの経営継続を求めてきた。

 今年4月に就任した工藤市長は前市長の方針から一転し、「運営主体は別として、鉄路維持」と柔軟な考えで対応してきた。道やJRの提案が示され、18日の高橋はるみ知事との直接会談を受けて市民理解を得ようと、19、20日に市内の約100団体に説明に回ったが、商工会議所を中心に反対論が根強かった中で同意に至った。

 同市長はオール北海道で延伸を求めてきた状況からの判断とし、「今後、道が設置する協議会などを通じて具体的内容を協議し、観光都市函館へのアクセス路線として、将来にわたる安定的、充実した鉄道輸送を、地域の皆さんとともに確立してまいる所存」と述べ、決断に対する理解を求めた。

 政府は整備新幹線着工の条件として@安定財源の確保A収支採算性B時短などの投資効果CJRの同意D並行在来線の経営分離への地元自治体の同意―の5点を求めている。道新幹線の経営分離をめぐっては地元の反発が根強い中、函館市だけ回答を保留していた。

 高橋はるみ知事は「それぞれの自治体でさまざまな課題を抱える中、判断いただいた市長、町長のご尽力に改めて敬意と感謝を申し上げる。長年にわたる道民の悲願であり、本道活性化に大きく寄与する北海道新幹線の認可・着工が一日も早く決定されることを期待している」とコメントした。

提供 - 函館新聞社


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