経済界に落胆広がる…函館市 在来線分離同意
update 2011/12/22 10:47
JR函館駅―新函館駅(仮称)間の経営分離に函館市の工藤寿樹市長が同意したことを受けて21日、これまで意見を表明してきた函館市内の各団体にはそれぞれの立場での思いが交錯した。結論を受け止め今後に期待する声が上がる一方、経営分離反対を強力に主張してきた函館商工会議所は大きく落胆。松本栄一会頭は「札幌中心の議論に巻き込まれた」とし、札幌本位ととれる道や関係者の姿勢を批判した。
工藤市長はこの日、同意表明の直前に同会議所を訪問。正副会頭らと約45分間会談し、決断に理解を求めた。これに松本会頭は「ここで反対したら歴史に残る市長になれる。同意したら多くの市民から石を投げられる」と不同意を迫った。同意の報を聞き「断腸の思い。限られた時間の中で結論を出すべきではなかった」と批判。市長との今後については「従来通り是々非々の立場を貫く」とした。
同じく不同意を貫いた函館朝市協同組合連合会の井上敏広理事長は「将来が非常に不安」としながらも、「ここまで人を呼び込むために、より魅力的な朝市を作る」と毅然と話した。函館都心商店街振興組合の渡辺良三理事長は「まちづくりにきちんと取り組んで」と話すにとどめた。
函館市町会連合会の奥野秀雄会長は「意に沿わない結果で大変残念」と語り、「JRや道の提案には、11万人もの署名者の不安を払拭(ふっしょく)する材料がないことに変わりはない。赤字など次世代に負担を残さないよう、JRと道、市には最大限の努力を求める」と注文をつけた。
市議会の能登谷公議長は「賛成会派にも反対意見があり、数の理論だけでは判断できない難しさがあった」とし、「議員にも今後、市民に今回の判断を説明する責務がある。市長の気持ちと決断を尊重し、決断した以上は協力しなければならない」と述べた。
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一方で函館駅前の商業者らの反応はやや冷静。居酒屋いか太郎(若松町)の佐々木まこと店長は「札幌延伸すると逆に人が流れてくるのではないか。3セクの赤字も本当に必要なら構わない」との考え。富士メガネ函館駅前店(同)の増田晃副店長は「乗り継ぎをスムーズにすれば現駅前に人は流れる」とする。
WAKOビルなどを運営するNAアーバンデベロップメント(同)の布村隆二社長は「20年後よりも、客足がない今の状況の解決が先。3セクの列車を魅力あるものとするなど、これからどうすべきかに精力を傾けるといい」とした。
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