摩周丸あすから企画展、「船舶位置自動表示装置」修復し展示
update 2011/12/21 10:32
函館市青函連絡船記念館摩周丸(若松町12)を管理、運営するNPO法人語りつぐ青函連絡船の会(木村一郎理事長)は、館内に保存されていた、航海中に船の位置を示す「船舶位置自動表示装置」を修復し、22日に始まる企画展「青函連絡船と津軽海峡の旅PartU」から展示する。同装置は1984年、乗組員のアイデアから生まれた。関係者は「乗組員が技術向上と乗客サービスを目指して開発した装置。懐かしんで見てもらえれば」と話している。
同法人によると、青函連絡船は64年から近代化された船が導入され、各船の乗組員は新しい技術に対応しようとさまざまな研究を行い、旧国鉄青函局では66年から「船舶業務研究発表会」を開いてきた。終航(88年)が近くなった84年、当時八甲田丸の3等通信士だった渡辺久義さんが、海図を使って船がどの位置にいるのかを自動的に表示する装置を試作して発表。実際に採用された。
装置は約80センチ×110センチ。函館港と青森港、津軽海峡が書かれた海図に航路が引かれ、その中に片道約25個の赤いランプが埋め込まれている。出港すると、点滅するランプが10分ごとに移動し、船舶位置を示す。このほか手動でボタンを押すと、五稜郭や汐首岬、青森の浅虫、恐山など灯台や観光地の計20カ所を案内する緑のランプも点灯する。
これまで同館内の倉庫にあったことは分かっていたが、損傷が激しく、電源を入れても作動しなかった。今年秋、同法人が装置を制作した会社に修復を相談。制作図面はなかったが、実際に携わった人の記憶で作業を進めたところ、23年ぶりに復活した。
渡辺さんの試作にも携わったという八甲田丸の元通信長で七飯町の野呂功さん(77)は「今では衛星によって位置が分かるが、世の中がアナログからデジタルに移行する時代では、タイマーを使った大変なアイデアだった。これも機関士など乗組員全体の力で、函館―青森間を正確に3時間50分で航海できたおかげ」と話す。
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