経営分離問題、知事と市長会談も決着つかず
update 2011/12/19 10:23
北海道新幹線の札幌延伸に伴い、JR北海道が函館―新函館(仮称)間を並行在来線として経営分離する問題で、高橋はるみ知事は18日、函館市内のホテルで工藤寿樹市長と会談した。函館―小樽間の沿線自治体で唯一同意を表明していない同市に対し、知事自らが理解を求めたが、この日で決着はつかず、工藤市長は「もう少し時間をいただきたい」として回答がずれ込む可能性も示唆した。
分離同意をめぐり、知事と市長が会談するのは初めて。政府が週内にも札幌延伸の着工認可を決定する見通しの中、道は着工条件の一つとなっている沿線自治体15市町すべての同意を取り付けたい考えで、知事自らが出向くトップ会談で事態の打開を狙ったものとみられる。
会談は非公開。知事は会談後に報道陣の取材に応じ、「今が札幌延伸に向けてのラストチャンス。道南全体の発展に向けてご判断いただきたい」と理解を求めた。道が13日付で示した文書を踏まえ「道が(3セクの)設立や負担割合について主体的な役割を果たしていく」と繰り返し強調したが、新たな提案には言及しなかった。
一方、工藤市長は知事に対して▽拙速な判断を迫られている時間の無さ▽過去の約束がほごにされた不信感▽負担割合が明示されていない不安感―の3点を主張。「知事の決意は重く受け止めるが、市民の不安や不信、懸念を解消する努力をもう少しさせていただきたい」と述べ、関係団体などにあらためて説明する考えを示した。
また、1994年に当時の横路孝弘知事と木戸浦隆一市長が交わした道新幹線の現駅乗り入れの覚書がほごにされたことへの市の不信感について、知事は「現職としてあらためておわび申し上げた」と説明。工藤市長も今回の会談について「今までのような表に出ない覚書とか事務レベルでの口約束とは意味が違う」と述べた。
工藤市長は会談後の記者会見で、これまで道新幹線の函館の要請運動について「道の協力が得られない中で孤独な戦いをした」と道の連携不足に苦言を呈した一方、「札幌延伸はやむを得ないと市民は覚悟している。障害になることは避けたい。市民の大半がそのはざまにある」とし、決断の難しさをにじませた。
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