新函館―札幌間延伸、沿線自治体の受け止めに温度差

update 2011/12/16 10:35


 北海道新幹線の新函館(仮称)―札幌間の延伸について、政府・民主党が年度内にも着工を認可する見通しとなったことで、道南の沿線自治体では「悲願」の実現に喜びの声が多く上がった。だが、議論が最終局面を迎える並行在来線の経営分離問題が未決着のままの報となり、苦しい胸の内も交錯している。

 民主党副幹事長で、道8区選出の逢坂誠二衆院議員は函館新聞の取材に対し、「(安定財源の確保や並行在来線分離の地元同意など)着工5条件が整うことが認可の大前提。道への働き掛けを強め、地元の代議士としていい報告ができるよう最大限の努力をしている」と述べるにとどめた。

 函館市の工藤寿樹市長は「情報を確認していないので、何も申し上げられない。市が関わっている問題であり、今の段階で良かったと言うわけにもいかない」と静観の構えだ。函館商工会議所の松本栄一会頭は「あくまで民主党の判断であり、最終的には政府が決めること。新幹線を通すためには、沿線自治体の判断は重い」とくぎを刺す。

 北斗市の高谷寿峰市長は15日、札幌市で道や道議会などに対し、JR江差線の並行在来線問題の要望活動を行った。札幌延伸後の函館線の経営分離の同意については態度を保留しているが、16日に道庁で高谷市長が意向を伝える方針。滝口直人副市長は「現時点で正式な連絡があったわけではないのでコメントできない」とする。

 七飯町の馬場修一副町長は「これまで町や町議会、建設促進期成会が札幌延伸に向けて続けてきた要望活動の成果が実った」と喜び、鹿部町の川村茂町長は「鹿部は新幹線の駅ができるわけではないが、北海道全体の発展になるので大いに期待したい」と歓迎する。森町の佐藤克男町長は「森町は通過点となる懸念もあるが、将来に禍根を残さぬよう知恵を出していかなくては」と語った。

 長万部町の白井捷一町長は「延伸は町民共通の願いで大変うれしい。経営分離問題で函館市が態度を保留しているのが心配」と話す。八雲町新幹線推進室は「新駅もできる予定の町としては大歓迎。経営分離問題は函館市も札幌延伸には基本的に賛成だと思うし、道が主体的にうまく調整してほしい」と注文をつけた。

提供 - 函館新聞社


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