「高龍寺」国登録有形文化財に
update 2011/12/10 11:44
函館市船見町21にある市内最古の曹洞宗寺院「高龍寺」所有の建造物10件が9日、国の文化審議会で文部科学大臣に答申され、登録有形文化財への登録が決まった。函館では6年ぶりの登録で、市内の登録件数は合わせて17件に。永井正人住職は「登録は昨年4月に亡くなった先代(永井康人前住職)の思いでもあった。先代も喜んでいると思う」と話している。
登録は建設後50年が経過し、@国土の歴史的景観に寄与しているA造形の規範となっているB再現することが容易でない―ことが基準。市は7月に登録へ向けた書類を文化庁に提出し、その後文化庁から文化審議会に諮問し、同日答申された。
高龍寺は1899年ごろに建築された本堂や、1907年の火災後に新しく建てられた山門、金毘羅堂などで構成。道有形文化財の「釈迦涅槃図(しゃかねはんず)」を所蔵しているほか、毎年10月に開催する「金毘羅尊天例大祭」など、年間を通して多彩な行事が行われている。見学は無料。
登録されたうち、「本堂」は良質なケヤキを使用した太い柱と梁(はり)で支え、力強い内部空間をつくる。周囲に下屋と縁をめぐらせ、東西に回廊を付属させる。堂内は9室あり、正面の向拝などには立体的で精巧な彫刻を飾るなど、大規模かつ装飾豊かな点が評価された。
「山門及び袖塀」は境内正面に建つ木造八脚門で、門の左右には桟瓦葺の袖塀を延ばしている。東北以北最大の山門で、雲龍や獅子、花鳥などの彫刻が施されるなど、意匠をこらした外観が特徴だ。
また、市内に現存する煉瓦造建築として代表的な「開山堂」や、延焼を防止するために設けられ、大火が頻発していた近代函館を象徴する「防火塀」、境内で最も装飾豊かな「金毘羅堂」などのほか、「水盤舎」「鐘楼」「宝蔵」「位牌堂」「土塀」が登録となった。
正式登録は数カ月後の登録原簿登載を経て決まる。市教委文化財課は「函館の歴史を物語るお寺が国に認められてうれしい。これからも後世に引き継がれてほしい」と祝福。永井住職は「これまでと同じように地域に密着したお寺であり続けたい」と話している。
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