「道主体で3セク運行」 函館−新函館

update 2011/12/6 10:26


 北海道新幹線札幌延伸に伴うJR北海道の並行在来線経営分離問題で、道の高井修副知事は5日、函館市の工藤寿樹市長と会談し、延伸に伴う函館駅―新函館駅(仮称)間の経営分離に同意するよう要請した。高井副知事は「第3セクター鉄道運行の際に、道が主体的な役割を担う」として理解を求めたが、工藤市長は地元経済界の反発などを踏まえ、返答を避けた。

 新函館―札幌間をはじめとする、整備新幹線未着工3区間の着工是非に関する国土交通省の検討作業が大詰めを迎える一方、地元経済界はJRによる函館―新函館間の経営継続を求める姿勢を堅持。今月3日には道商工会議所連合会の高向巌会頭が函館商工会議所に対して経営分離の同意を求めており、札幌延伸をめぐる動きが慌ただしさを増している。

 高井副知事は午後1時半過ぎから、約45分間会談。終了後の取材で「(市長には)できるだけ早い時期に同意にこぎつけてほしいとお願いした」と説明。そのうえで「昨年函館市民から11万人の署名があったが、鉄路を残す手段としては第3セクターが現実的。費用負担などの面で道が主体的に運営を担う」としたて協力を求めた。

 道は11月24日に「鉄道運行確保のため最大限努力する」とした文書を市に送付しており、そこから一歩踏み込んだ形となったが、運営方式や採算性に関する具体的な説明はなかった。

 同市長は「道として主体的に問題に取り組むという話だった。状況を話しただけで、要望したことは特にない」とし、7日から市議会一般質問が始まることを挙げ、詳細についての言及を避けた。

 一方、市と函館商工会議所はこの日午前、来年度予算にかかわる懇談会を非公開で行い、松本栄一会頭はJRによる経営継続を求めた。同会頭は取材に対し「3セクは地域限定のビジネス。函館の路線が3セクでやっていけるという裏付けは何一つない」と反対姿勢を明確にするとともに、「土壇場にきて時間がなくなってから作業に入っている。納得できないし、行政の怠慢だ」と、道の調整力不足を指摘した。

提供 - 函館新聞社


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