新幹線新青森開業1年 震災影響 集客苦戦
update 2011/12/4 10:12
東北新幹線の新青森―八戸開業から4日で1年。直後から接続する特急白鳥を利用して前年を超える旅行者が津軽海峡線を利用したが、東日本大震災以降は一転。春から夏にかけて、道南の観光業関係者は厳しい試練に遭った。状況がひと段落した秋以降は徐々にではあるが上向き、開業2年目に向けた集客への期待が高まる。関係者にこの1年の状況と今後の展望を聞いた。
JRの津軽海峡線(中小国―木古内間)の輸送実績は、昨年12月は前年同月比11・4%増となり、その後ことし1月は同23・3%増、2月は同13・6%増と好調。これが震災後の3〜8月は同55〜10%減の幅で推移する。東北新幹線のダイヤが通常に戻った9月以降は、企画商品の効果もあり9月は同21・6%増、10月は同5・6%増となるが、同社函館支社は「新幹線効果があるかは不明」と慎重に受け止める。
同支社は「震災後、首都圏や関西から訪れる人は予想以上に少なかった」と振り返り、今後も「11月の状況も厳しく、現状をみると劇的に増えるとは考えられない」との見方。
輸送実績の影響は、函館駅での土産物販売や市内の宿泊施設利用とも相関関係にある。JR函館駅構内の土産店「POっPO」を運営するジェイ・アールはこだて開発(函館市若松町)は、同店の売り上げについて「開業後3月上旬までは前年を超え、効果は確かにあった」と実感。特に1月は、前年同月比10%以上の伸びだった。
ただ震災後夏までは前年割れが続き「“北海道の定番土産”が売れず本州の客が遠のいたと感じた」と同社。9月以降は前年を超える状況が続き、「開業2年目は徐々に伸びるのでは」と期待する。
宿泊業の状況はさらに深刻だ。函館湯の川温泉旅館協同組合に加盟する22軒の宿泊客数は、ことし1、2月は列車ツアー商品を利用した本州からの客でにぎわい、前年同月比5〜10%の伸び。関係者は期待に胸ふくらませたが直後の震災で事情は一変。一時は前年の半分にまで激減した。
こちらも8〜10月は前年の8割程度まで盛り返したが、7月までの落ち込みを取り戻せない。ただ来年1〜3月には本州の旅行会社が海峡線を利用した新商品を投入するため「確実に10%はアップする」(金道太朗理事長)との予測。「今後じわじわと利用が増えるだろう。来てくれた客を大切にもてなしたい」。
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