ホタテ貝殻再利用の「北海道スカラップ」、需要増で生産量拡大へ
update 2011/11/20 11:08
【鹿部】ホタテ貝殻の再利用に取り組む「北海道スカラップ」(鹿部町宮浜、吉康郎社長)は本年度、生産量の拡大事業に乗り出す。貝殻を粉砕して製品化した肥料などの需要増に対応するもので、12月から鹿部工場(同所)内の機械増設に着手する。製品生産量は従来の約3倍となり、廃棄物削減にさらに貢献しそうだ。
同社は、鹿部町内の水産加工会社9社などが共同出資して2006年5月に設立。9社から産出される鹿部産ボイルホタテ貝殻を、年間約6000トン処理。貝殻から炭酸カルシウム肥料、道路資材、滑り止め材を製造、販売している。2010年度の売上高は約5400万円。
同工場は現在、1時間当たり2〜4トンの製品生産を行っており、今回の機械増設により来年3月からは同6〜10dに増やす。生産量拡大により12年度の売上高は約1億3000万円を見込む。
同社のリサイクル製品は、エコ循環型社会の推進に貢献するとして認知度が高まり、引き合いは強まる一方。道路資材では、26日に開通する道央道の落部インターチェンジ(IC、八雲町)―森IC(森町)間20・2キロで、事業者のネクスコ東日本北海道支社(札幌)がアスファルト舗装混合物に約1200トン使用したほか、12年度開通予定の森IC―大沼公園IC間9・7キロにも800〜1000トンが使われる予定。
滑り止め材は、焼き砂に替わり小樽運河の散策路などに使われ、道路に残らず環境に優しい。肥料も畜産農家が飼料を生産する土壌改良に使われる。
同社の五十嵐一長事業部長は「環境負荷の低減が重視される中、従来製品と比べて質も価格も同等なら、リサイクル製品を使おうという機運が高まっている」と話す。
同社はボイルホタテ貝殻のリサイクル製品が、二酸化炭素(CO2)循環型(排出されるCO2と、吸収されるCO2の量が同じ)や、天然有機カルシウム材であることをアピールし、販路拡大を目指す。五十嵐部長は「今後マーケットが広がり、鹿部産だけで足りなければ、森町砂原からも原料を受け入れる予定」とする。
今回の事業は、道からの補助(循環資源利用促進施設設備整備費補助金)を受け、総事業費は約1億円。
道内のホタテ産地では、貝殻の処理が大きな課題となっている。この未利用資源のリサイクルを継続的に事業化している企業は、同社も含め道内には4社ほどしかない。
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