「精神性、現代に受け継ぐ」縄文文化国際シンポ

update 2011/10/31 22:45


 国際的な視点で縄文文化を語り合うシンポジウム「縄文文化とユーラシアの様相」(実行委主催、函館新聞社など後援)の最終日が30日、函館山山頂のクレモナホールで開かれた。初日に続いて特別講演や事例報告が行われ、市民らが縄文文化の理解を深めた。

 特別講演は、環境考古学を専門分野にする国際日本文化研究センターの安田喜憲教授が「人類の歴史と気候変動」と題して行った。

 「縄文人は海で漁をするほど高度な文化を持っていた。日本の自然が豊かなのも、森と水の循環を大切にしてきた縄文人の精神を受け継いでいるから。そして人殺しのための武器を作らず、合掌土偶のように神を崇拝する精神を持つなど、生命も大切にしてきた」と力説した。

 そのほか各国の研究者ら9人が事例報告。函館市縄文文化交流センターの阿部千春館長は、同センターで展示する国宝「中空土偶」に触れ、「ほとんどの土偶が壊れた状態で発見されるように、中空土偶も8つのパーツに分かれていた。中空土偶をCTスキャンで検査した結果、土偶が故意に破壊されることを前提に作られたと推測できたが、これは縄文社会に共通した心性があったためと考えられる」と発表した。

 函館市は今後、91カ所の縄文遺跡群が点在する南茅部地域をはじめとした「北海道・北東北を中心とした縄文遺跡群」の2015年度の世界遺産登録を目指す。総括で、日本考古学協会の菊池徹夫会長は「世界遺産登録に向け、縄文人の高い精神性や自然と共生する思想を伝えていきたい」と話していた。

提供 - 函館新聞社


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