復路の「無料化」提言へ 救急車の高速道路利用
update 2011/10/25 11:30
重篤な救急患者を札幌や函館などの医療機関に救急車で搬送する場合、道南の市や町では高速道路を利用して患者搬送を行っている。緊急走行を行う往路は、通行料金が免除されるが、復路は通常料金が適用される。道南18市町で組織する南北海道市町村連絡協議会は、救急車の即応性向上を図るため、料金制度の見直しが必要との認識で一致。国や道などに提言に向けて、具体的な検討を始める方針で一致した。
21日に厚沢部町で開かれた同協議会。口火を切ったのは外崎秀人今金町長だ。救急車が患者搬送のために緊急走行する場合、通行料金は無料になる。ところが、医療機関に患者を収容して帰路につく際は、緊急走行の要件には該当せず、通常料金を支払わなければならない。患者を乗せずに緊急走行すれば「道路交通取締法違反に問われる」(関係者)。札幌や函館への転院搬送が増加傾向にある中、財政難に苦しむ自治体は、予算節減のため一般道を利用せざるを得ない状況にある。11月26日には道央道の落部―森間が開通。搬送時間短縮のため、救急車の利用頻度が高まることも見込まれる。
救急車の不在が長引く場合、隣接する市や町に応援を求めなければならないが、救急車を1台しか配備していない自治体も多く「車両のやり繰りが困難になるケースもある」(消防関係者)。重篤な患者を搬送する場合、医師や看護師が同乗することも多く、地元の医療機関の診療体制に与える影響も大きい。外崎今金町長は「救急体制を継続するには1分でも早く医師や救急車を戻す必要がある」と訴える。
過疎地域を中心とした深刻な医師不足で、救急医療を担うはずの2次医療圏だけでは、対応が困難になっている地域が多く、3次医療圏の大都市にある医療機関に患者を搬送せざるを得ない背景もある。こうした現状から、道南圏でもドクターヘリ導入を求める声も根強い。しかし、医師確保や予算上の制約から、慎重姿勢を示す自治体もある。桧山町村会長の寺島光一郎乙部町長は「救急車の確保は切実な問題。料金面での改善が必要」として、制度の見直しを国や道に提言するため、渡島、桧山両町村会などで早急に対応を詰める考えを示した。
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