RSウイルス流行の兆し

update 2011/10/23 11:29


冬場にかけて主に乳幼児に多く感染する「RSウイルス感染症」の患者数が函館市内で例年の倍のペースで増えている。感染すると風邪のような症状を引き起こし、特に3歳未満の乳幼児は重症化のリスクが高い。市立函館保健所などは、手洗いなど予防策を徹底するよう呼び掛けている。

 同感染症は、主にくしゃみなどによる飛まつや接触によって感染し、鼻水やせきなどの症状が出る。年齢を問わず何度でも感染を繰り返し、大人は鼻風邪程度の軽い症状で済むが、乳幼児が初めて感染したときは、肺炎や細気管支炎を引き起こし、合併症を引き起こして死亡したケースも報告されている。今年は全国的にも急増しており、国立感染症研究所ではこれまでにない大流行になるとして警戒を強めている。

 流行の兆しは函館市でも見られ、同保健所によると市内の医療機関7カ所からの今年の感染報告数は、1月から10月16日現在まで計122人。統計を取り始めた2004年以降、最多(239人)だった09年の同期(57人)の倍以上で、最多人数を上回るペースで増えている。

 今年は5月中旬以降急激に増えており、感染者が急増するこれからの時期、家庭や保育所などは注意が必要だ。

 RSウイルスの潜伏期間は4〜5日。通常1〜2週間で症状は良くなるが、有効な治療薬はなく、治療は対症療法が一般的。ウイルスが体内で増殖するのを抑制する注射薬「パリビズマブ」(製品名シナジス)が唯一認可されているが、保険適用が早産児や先天性心疾患のある乳幼児に限定され、それ以外は自己負担額も高額なため普及していない。

 同保健所は「うがいや手洗いを心掛け、人の多い所への外出は避けて。基礎疾患を持っている乳幼児は重症化になる恐れがあるので気をつけてほしい」と呼び掛ける。

 また、函館中央病院の小児科医で、総合周産期センターの木田毅センター長は「発熱がなくても呼吸がゼーゼー苦しそうにしていたら医療機関に受診を。受動喫煙も重症化につながるリスクがあるので、子どもの前では喫煙を控えて」と話す。

提供 - 函館新聞社


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