家族の絆 写真で紡ぐ 震災であり方見直される
update 2011/10/15 11:32
家族写真が、親子やきょうだいの絆を象徴する存在として見直されている。函館近郊の写真館では春先から、家族写真撮影の希望者が途切れない状況で、「記念日でなくとも、みんながそろったときに訪れる家族連れが多い。東日本大震災の影響で、家族のあり方を見直す動きがあるのでは」と業界関係者。道南では15、16日の連休、七五三参りのピークを迎え、写真館は家族写真の予約でいっぱいだ。
東日本大震災の被災地では、復旧をけん引した自衛隊員らが、がれきに埋もれた無数の家族写真を丁重に集め、持ち主へ返す活動が連日報道された。
あさかぜ写真館・亀田八幡宮写真室(函館市八幡町3)には、岩手県の被災者から、津波で傷んだ家族写真の複製依頼があり、無償で応じた。同写真館代表の朝風恵子さんは「家族写真の特別な存在を改めて感じた」と振り返り、「節目のイベント以外でも家族写真を残そうとする動きが今年は目立つ。写真館へ家族そろって出かけたという思い出も永遠に残るはず」。同館で長男の功太郎君(5)の七五三の記念撮影をした、市内の工藤裕之さん(49)、修子さん(49)夫妻は「撮影の雰囲気も良く、いい思い出になった」と終始笑顔だった。
木古内町のフォトスタジオ西村では例年、正月と盆時期に家族写真撮影が集中しているが、今年は時期を問わず平日に予約が相次いでいる。正装した子どものみの撮影が大半を占めるが、同店は家族そろって写真に収まることを勧めている。西村イチロウ代表は「普段着のままで構わない。家族の自然の姿が一番で、写真を見るたびに家族の大切さを感じられるはず」と話す。
谷杉写真館(函館市美原3)でも、今年は家族写真の撮影予約が相次いでいる。今夏は節電の影響で本州の大学が夏休みを延長したため「いつもより長い帰省期間に、お盆前後に家族写真や成人式の記念撮影が多かった」と谷杉アキラ代表。谷杉さんが店主の「旧小林写真館」(大町2)でも観光客らが家族写真を希望し、8月には宮城県の新婚夫婦が入籍祝いにと駆けつけて記念撮影。谷杉さんは「大震災による先行きへの不安はあると思うが、函館で写真を撮ってくれたのは光栄でうれしい。二人の幸せと被災地復興への願いを込めた。この震災が家族とは何かと考える機会になったのは確かだと思う」としている。
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