買い物車両 高齢者の足 七飯町のケアサービスドウナン

update 2011/10/4 10:25


 【七飯】七飯町の介護事業所、ケアサービスドウナン(中村久子社長)は8月から、町内緑町を対象に、高齢者の買い物支援としてボランティア車両の運行を試験的に行っている。試験運行は10月末までだが、同社は利用状況などを検証したうえで本格運行をしたい考えだ。

 試験運行は緑町にあるデイサービス「ハッピードウナンU」の送迎車両を「お買いもの号」として活用し、職員が通常業務の合間に車両を運転。毎週月曜、火曜の2回、鳴川と桜町にあるスーパーマーケットまで無料で運行する。町内4カ所に乗り合いの場所を設け、買い物終了後は自宅まで送り届ける。車両はワゴン車で、10人乗り。

 運行当初は登録者5人、1日当たりの利用も1、2人だったが、2カ月弱が経過し、登録者は10人。1日当たり3、4人と着実に利用者は増えている。

 運行前、緑町町内会400世帯にアンケートを行い、約50人から回収。「ボランティア車両」の希望について、「あった方が良い」と回答したのが42人で、利用目的については、「買い物」26人、「病院」12人、「公共施設」8人などという結果が出た。

 七飯町の市街地は傾斜地で、坂道が多い。公共施設やスーパーマーケットなどは山側にあり、坂の下側にある緑町は高齢者を中心に徒歩での買い物に不便を感じ、ボランティア車両のニーズは以前から高かった。

 アンケートの結果や地域の実情を踏まえ、同社は町内会にボランティア車両の運行を提案し、協議の結果、3カ月間の試験運行を申し合わせた。

 利用者からは「今までタクシーを使っていたから助かる」「他の店舗にも行ってほしい」とおおむね好評で、「人数が少ないと利用しにくい」「買い物時間が長くなると他の人を待たせるので気が引ける」といった感想も。80代の女性は「今までは重たい物は買い控えていた。買いたい物が買えるようになったのはありがたい」と継続を望んでいる。

 運行によって、車内で利用者同士の交流の場にもなっており、中村社長は「高齢者が地域に出て自分で買い物することは町の消費刺激にもなる。長い目で見ると介護予防やコミュニティー形成にもつながる」と期待を寄せる。

 本格実施に向け、有料化の是非や、介護サービスを受けている高齢者の扱い、他店舗への運行、地域や関係機関との連携など課題が残されており、中村社長は「事業所として地域に何ができるのかという視点で取り組みたい。町内会や行政など関係機関の意見をうかがいながら今後の運行について決めたい」と話している。

提供 - 函館新聞社


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