道南財政界 期待と懸念

update 2011/8/30 10:33


 菅直人首相の後継を決める29日の民主党代表選挙で、野田佳彦財務大臣が新代表に選出されたことを受け、道南の政財界関係者からは新たな政権運営に期待する声とともに、「財政規律」を重視する野田氏が新首相になることへの懸念や注文も相次いだ。

 民主党道8区選出の逢坂誠二衆院議員は、1回目に鹿野道彦農水大臣に投票し、決選投票では海江田万里経済産業大臣を選んだ。逢坂氏は鹿野氏について「いま何をやるべきかという大局感を持った人」とし、決選投票では「北海道という地域を考えた場合、財政や新幹線への影響を勘案して海江田氏に投じた」と説明した。

 その上で野田氏については「ユーモアがあり、機転も利く。財務大臣と違って首相になれば広く意見を聞く人だと思う。『ノーサイド』の言葉を信じ、実行してもらいたい」と期待感を示した。現在務める総務大臣政務官の役職については「まったく白紙の状態」と語った。

 一方、野党側には不安や不満もくすぶる。自民党8区支部幹事長の佐々木俊雄道議は「代表選を戦ったメンバーの中では順当に落ち着いた結果という印象だ。本道が直面する課題である景気回復や道新幹線の札幌延伸などに否定的だと聞いており、期待が持てる政権にはならない」と切り捨てた。

 東日本大震災の復興支援など菅政権のスピード感に不満のあった公明党。函館総支部長の茂木修函館市議は「新たな体制のもとで、被災者が望むことにスピーディーに取り組んでほしい」とし、合意形成型の国会運営を望む。共産党函館地区委員会の高橋佳大委員長は「民主党は普天間基地問題など公約を投げ捨てて、自民党と変わらなくなっている。自民との大連合に進むのであれば、政権交代の意味も問われる」といぶかる。

 道南の自治体の首長らの反応もさまざまだ。工藤寿樹函館市長は「誰が代表でも、まずは震災の問題をきちんと対応してほしい。原発やエネルギーなど課題は山積みで、国としての明確な方向性や国民に勇気と希望を与える政治を望む」と注文を付けた。

 一方、高谷寿峰北斗市長は「5氏の中で野田氏は地方財政に厳しい印象。将来の増税に余地を残した発言もあり、景気の悪化につながるのでは」と懸念。中宮安一七飯町長も「野田氏が掲げる歳出削減の方針は道新幹線の札幌延伸が遠のくのではないかと心配している」と不安視する。

 道町村会長の寺島光一郎乙部町長は「民主党は挙党一致でぶれない政治を早急に実現し、迅速な復興対策や経済対策に取り組むことができる、実務的な顔ぶれによる組閣が行われるかどうか注目したい」とコメントした。

 経済界からは厳しい経済状況を背景に、増税を待ってほしいとの声が寄せられた。函館商工会議所の松本栄一会頭は、「増税の時期はよく考えてほしい」としながら、外交手腕に期待し、「社会不安をどう終結させるか」見守る考え。

提供 - 函館新聞社


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