平和の尊さ力説

update 2011/8/23 11:04


 函館市主催の被ばく体験者講演会が22日、市内の2中学校で開かれた。1945年8月9日に、長崎市で被ばくした和田耕一さん(84)=長崎平和推進協会=がつらい経験と核兵器の恐ろしさを語るとともに、「人間、どこにいても平和はつくれるもの」と述べ、生徒たちに平和の尊さを力説した。

 講演会は市の核兵器廃絶平和都市推進事業の一環として13年前から毎年開いており、広島と長崎から講師を招いている。和田さんは学徒動員で路面電車の運転士をしていた時に被ばくした体験を語り継いでおり、函館には初めて訪れた。

 このうち函館桐花中学校(中村吉秀校長、生徒308人)で、和田さんは、「体全体で強烈な閃光(せんこう)と、想像もつかない爆風を感じた」と原爆がさく裂した瞬間の記憶を語った。同僚が亡くなった経験も紹介し「(同僚が)僕は何もしとらん、と言っていたことが忘れられない。原爆投下から66年経った今でも、僕のような人間をつくらないでと、世界中のどこかで訴え続けているはず」と語りかけた。

 東日本大震災における福島第一原発事故に触れ「爆破の状況を重ね合わせると、何とも言えない気持ちになる」と話し、最後には「平和は誰も持ってこない。平和をつくる気持ちをしっかりと持って」と訴えた。

 このほか生徒会長の風間有沙さん(3年)が、平和大使として平和祈念式典などに出席し、学んだことを紹介。講演会終了後は校庭にオンコの木を植えて、恒久の平和を願った。菅原泰希君(3年)は「今と違ってつらい時代だったと思う。今の自分たちは幸せなんだと感じた」と話していた。講演会は23日も亀田、光成中で開かれる。

提供 - 函館新聞社


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