市内AED設置は? 公立学校は完備、幼保は未設置
update 2011/8/9 13:17
元サッカー日本代表の松田直樹選手が練習中に心筋梗塞で倒れ、亡くなったことを受け、AED(自動体外式除細動器)への注目が高まっている。函館市内では市立の小中学校、高校はすべて設置しているが、幼稚園や保育園は未設置。スポーツ施設でも一部に設置されていないケースもある。災害同様、備えあれば憂いなし。市内の設置状況を探った。
AEDは停止状態の心臓に電気ショックを与え、正常な働きを取り戻す小型の医療機器。自動音声で使い方の手順を指示するため、医師など専門的な知識がない人でも扱うことができる。今回、松田選手が倒れた際に近くにAEDがなかったことから、その必要性が叫ばれている。
市立函館保健所によると、市内では2003年に市総合保健センター(五稜郭町23)に第1号が設置されたの皮切りに、市内の公共施設には計130基が常設されている。同保健所保健企画課は「1基購入するのに30〜35万円かかり、全施設に設置するのは容易ではない。一時期は寄付も多かったが…」と話す。
市教委や市福祉部によると、市立の学校では函館高校に3基あるほか、08年に中学校26校に、10年に小学校46校に全校配備した。一方、幼稚園2園や公立保育所7園にはいずれも設置されていない。これまでは「より激しい運動を伴う順番で」(市教委保健給食課)、「危険度の高い高齢者向け施設を優先的に」(同部)設置を進めてきたという。
また、多くのスポーツ施設にもAEDは設置されているが、千代台公園弓道場(千代台町)や西桔梗野球場(西桔梗町)、根崎公園ラグビー場(湯川町3)などは未設置。市教委スポーツ振興課は「費用面に加え、管理者が常駐していない施設や、防犯管理上、設置場所がないケースもある」として完備の難しさを説明する。
これまで各施設で実際に使用したケースはないが、「緊急時に誰でも確実に使えるよう一人でも多くの人が使用法を習得する必要がある」(市教委)とし、今後、必要に応じて消防などによる講習会を開く方針。ただ、今後の設置については各所管とも「検討課題」と述べるにとどまる。
市内のスポーツ関係者の関心は高い。根崎ラグビー場を利用する函館ラグビースクールの薮越敏広校長(74)は「財政的な厳しさもあるが、市も協会も早急に対応しなければならない。器具を使いこなせるよう指導者が講習を受けるのも大事」と指摘。西桔梗球場を管理する函館軟式野球連盟の山内憲治副理事長(64)は「人命に関わることなのでAEDは絶対に必要。市にも設置の要請をしているが、寄付してくれる人がいれば」と話していた。
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