汚染疑いの牛問題 収拾見えず広がる懸念
update 2011/8/6 13:33
放射性セシウムに汚染された疑いのある牛肉の流通に歯止めがかからない。汚染の疑いのある牛肉は函館市内の販売店や飲食店にも拡大。5日現在、計8店で約167キロが提供され、その大半が消費されたとみられる。食べても健康に影響するレベルではないが、生食のユッケによる集団食中毒事件もあって牛肉の安全性に関心が高まる中、対応に追われる販売店では消費者の「牛肉離れ」への懸念も広がり、事態は収束の兆しが見えない。
「お客さまに販売してしまった責任はあるが、(稲わらを与えていない)証明書もあったので防ぎようがなかった。ある意味では店も被害者。とにかくこの問題を一日も早く収拾させてほしい」。汚染の疑いのある牛肉を販売した市内の販売店の担当者は対応に苦慮する胸の内を吐露した。
道などが7月26日、放射性セシウムを含む稲わらを食べた宮城県産肉牛の一部が市内で販売されていたのを公表して以来、次々と汚染の疑いのある牛肉の流通が判明。これまでに宮城県産4頭、岩手県産3頭、茨城、新潟県産各1頭の肉の一部が5月2日から7月23日までの間に市内6販売店、2飲食店で提供された。道南では北斗市や乙部町、森町、福島町でも一部流通が確認されている。
函館市内のスーパーの担当者は「(稲わらを与えるような)和牛はもともと取り扱いが少なく、売れ筋は安価な交雑種の『国産牛』が中心。影響はほとんどない」と静観。一方、別の店では「道産牛でも以前は1日2〜3万円の売り上げがあったが、いまは1日1万円前後と半分以下に落ち込み、価格下落も進んでいる」と買い控えを懸念し、小売店によって温度差もみられた。
市内で販売された汚染の疑いがある肉はほとんどが在庫がなく検査ができないため、放射性物質の含有量は不明だ。ただ、同じ個体識別番号の牛で、他都市で在庫が見つかった一部の肉については道立衛生研究所(札幌)が検査し、いずれも国の暫定規制値(1`当たり500ベクレル)を大幅に下回っている。
市立函館保健所によると、国内では食品や大気中からも自然放射線を年間平均1.5ミリシーベルト受けているといい、「喫煙や大量飲酒による発がんリスクは、1ミリシーベルトの放射線被ばくの約1000倍に当たる。生活習慣を改善する方がはるかに効果が大きい」と説明する。
今回の問題はBSE(牛海綿状脳症)問題を受け、2003年に導入された牛の個体識別番号によって処理業者や販売業者など流通ルートが追跡できた。同保健所は「この番号のおかげで被害拡散が一定程度食い止められた。これを機に市民も自分の口に入る食べ物の流通過程や安全性について関心を持つきっかけにしてほしい」としている。
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