増える高齢者虐待 昨年度の函館市内

update 2011/8/1 10:50


 函館市内で介護を受けている高齢者への虐待が増加傾向にある。高齢者の身近な相談窓口となっている地域包括支援センターを通じて昨年度に寄せられた虐待通報件数は54件で、うち36件を虐待と認定。前年度から通報、認定とも11件増えている。市は昨年度に幅広い関係機関が参画する「高齢者虐待防止ネットワーク」を立ち上げて対応しているが、家庭内の問題が発見されにくい現状もある。市福祉部は「深刻な問題としてとらえ、粘り強く対応する必要がある」としている。

 高齢者虐待は@暴力をふるって体に痛みを与える「身体的虐待」A脅しや侮辱などの言葉や威圧的な態度、無視などの嫌がらせをする「心理的虐待」B性的行為を行ったり強要する「性的虐待」C本人の合意なしに財産や金を奪う「経済的虐待」D介護や世話を放棄する「ネグレクト」―などに分類される。

 虐待件数はこのほど開かれた地域包括支援センター運営協議会で示された。通報事例54件(重複あり)のうち、身体的虐待が36件と最多で、心理的虐待29件、経済的虐待15件など。昨年度は延べ711件の通報を受けており、1回当たり約13回対応している計算になる。

 このうち虐待と認められたのは36件で、虐待ではない事例が8件、「対象者と養護者との言い分が違ったり、話に矛盾がみられる」(福祉部)など、判断に至らなかったケースも9件あった。

 同部は数値化していないものの、息子や配偶者など家族による虐待が多いと分析するとともに、「養護者には自覚のない場合が多く、高齢者も養護者をかばったり、知られたくないなどの思いがあるため事実を訴えにくい面がある」として、虐待が疑われる場合に地域包括支援センターや市への相談、通報を呼び掛ける。

 昨年度立ち上げた高齢者虐待防止ネットワークでは、住民組織や社会福祉協議会による「早期発見・見守り」、介護保険事業所などによる「保健医療福祉サービス介入」、行政や警察、医療機関が参画する「関係専門機関介入支援」の3つのネットワークを組織し、問題が深刻化する前の段階から対応する考え。

 今年3月には独自の対応マニュアルを作成したほか、年内には講演会を開いて意識啓発を呼び掛ける。高齢者虐待に関する相談、問い合わせは市介護高齢福祉課TEL0138・21・3025。

提供 - 函館新聞社


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