道南の景況 一気に後退 震災、観光事業を直撃
update 2011/7/2 10:44
日銀函館支店(山田正弘支店長)が1日に発表した6月の企業短期経済観測調査(短観)によると、渡島・桧山管内の企業の景況感を示す業況判断DI(「良い」とする割合から「悪い」とする割合を引いた指数)は、全産業でマイナス35となった。バブル以前の水準に次ぐ悪さで、リーマンショック後より悪化した。同支店は「東日本大震災の影響が如実に出ており、特に宿泊・飲食業を中心に落ち込みが激しい」とする。
全産業のDIは、バブル前の1984年3月にマイナス39となったのを底に、ここ最近ではマイナス30からゼロの間で推移していた。リーマンショック後の2009年3月にはマイナス33まで後退したが、その後上昇に転じ、10年6月にはマイナス3まで回復。その後徐々に悪化していた感はあるが、今回は前回(3月)から14ポイント低下と震災の影響で一気に後退した。
産業別では、非製造業のうち宿泊・飲食サービス業での落ち込みが特に顕著で、57ポイント低下しマイナス71となった。02年12月に業種別DIの調査を始めて以来最低の値で、リーマンショック後(08年9月)よりも悪い。同支店は「観光入り込みが大幅に減り、土産品購入などが大きく減った」とする。
非製造業全体ではマイナス47と前回から22ポイント低下。小売は6ポイント改善したが、マイナス50にとどまる。
一方の製造業はマイナス10と1ポイント改善。中でも食料品が27ポイント上昇してゼロに落ち着いた。水産加工業のウェートが高く、一部に三陸沖被災地の代替需要でイカ塩辛やさきいかなどの受注増が見られるという。同支店は「震災がプラスに寄与した」とし、観光産業とは明暗分かれる格好となった。
3カ月後の景気予測を示す先行きDIは、全産業で6ポイント改善のマイナス29と、わずかに回復の期待をにじませる。
11年度の売上高・収益計画は、前回調査より15.9ポイント下方修正し、前年度比4.1%減を見込む。11年度の設備投資計画は同7.9ポイント下方修正し、前年度比42.7%減とした。前年の大型投資の反動のほか、震災で投資を見合わせる動きがあるとみられる。
調査は5月下旬から6月末まで道南の102社(製造業31社、非製造業71社)を対象に実施し、全社から回答を得た。
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