マイカ漁解禁1カ月、漁獲・型が回復傾向
update 2011/7/1 12:02
函館の名物である道南近海のスルメイカ(マイカ)漁解禁から1日で1カ月。函館市内の店頭では出回り量が増え、ようやく夏の風物詩として市民の食卓を彩り始めた。水揚げ量は6月下旬でみると前年並みの水準となり、魚体の大きさも回復してきた。漁業関係者は「これからが本番」と手応えを感じている。
6月3日の初水揚げでは、函館市水産物地方卸売市場の競りにかけられたマイカは45匹(2キロ弱)で、記録的に少ないスタートだった。解禁直後は型が小ぶりで市場価格も低迷、出漁を見合わせた漁業者も多かった。
はこだて自由市場(函館市新川町)のイカ専門店「富田鮮魚店」(富田貞雄社長)では30日、いけすイカが4匹1000円(小型)、3匹1000円(大型)で店頭に並び、市民らが次々と買い求めていた。魚体の大きさは20aほどが多いという。多い日で1日に70〜80キロ売れるといい、富田社長は「型も大きくなったし、量も増えてきた。値段も安くなってきたので、商売はこれからが本番」と笑顔を見せていた。
函館市農林水産部によると、6月1〜29日の同市場でのマイカ取扱量は117トンで、前年の約半分。ただ、6月21〜29日では76トンと前年(79トン)並みに回復。マイカ全体の平均市場価格は1`当たり377円で前年比5円安。いけすイカは同731円で同104円安。6月下旬からは、1箱(6キロ)25〜30匹入りも入荷していて、魚体は大きくなってきた。単価安について同部は「魚体が小さいことに加え、東日本大震災の影響で函館の観光客入り込み数が落ち込んでおり、ホテルや飲食店での需要減が影響しているのではないか」とみる。
函館市漁協によると、現在の漁場は松前町沖の松前小島付近が中心だが、前浜でも捕れ始めたという。同漁協は「前浜に漁場が形成されれば、燃料代もかからず、手取り収入が増えてくる。漁業者の体の疲労度も軽減される」と期待を寄せる。1日からは、漁船に使うA重油(組合員価格)が1円80銭下がり1g当たり83円30銭となる。通常の年だと70円台なので、80円台はまだ高いが「漁業者にとってはプラス材料」と同漁協。
函館水産試験場の沢村正幸研究主任は「今季は日本海全体の資源量はそれほど多くないが、遅れていた群の来遊が見られたので、道南日本海側を中心にしばらくは漁獲が続く。太平洋側の群はまだ来遊していないので、太平洋側での本格化はもう少し先になるだろう」と話している。
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