「ササラ電車」 東京へ里帰り出張

update 2011/6/28 10:44


 函館市企業局交通部の除雪車「ササラ電車」が、東京で7月から開かれる都営交通100周年記念特別展(都交通局主催)で展示されるため、市電駒場車庫(駒場町)で27日、車両の搬出作業が行われた。函館から現役車両が出展されるのは初めて。かつて活躍した故郷・東京へ76年ぶりに里帰り出張≠キる。

 都交通局などによると、車両は1903〜04(明治36〜37)年ごろに製造された木造の四輪単車「ヨヘロ型」で、都内を運行していた路面電車のうち今も残る現役車両としては国内最古。車両は全長8.7メートル、幅2.3メートル、重さ10.4トンで、定員は約40人。

 34(昭和9)年3月の函館大火で所有していた路面電車をほぼ焼失した函館市は、レールの軌間が国内で唯一同じだった東京市電気局(当時)から34〜35年にかけて車両を計45両購入。37年には6両を除雪用に車両の前後に竹ブラシを装着した「ササラ電車」に改造し、現在も2両が年に数回活躍している。

 都交通局は7月14日〜9月10日に江戸東京博物館(墨田区)で開く「東京の交通100年博」の目玉展示として車両を借り受けた。この日は午前8時から総勢約30人で作業を開始。製造から100年以上が経過しているため、クレーン2台で慎重に車両を持ち上げ、苫小牧まで陸送するためのトレーラーに3時間ほどかけて積み込んだ。

 車両は28日夜、苫小牧からフェリーで川崎市に向かい、7月4日に会場に到着する予定。都交通局は「これほど長く車両が保持されるのは異例。東京で生まれ、函館で守り育てられた貴重な歴史的車両を多くの鉄道ファンに楽しんでほしい」、函館市交通部も「現役で活躍する姿を見に来てもらえるよう函館をPRしてきてほしい」と話していた。

提供 - 函館新聞社


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