道南観光 どう影響 高速道路の休日上限1000円19日で中止
update 2011/6/18 11:55
国土交通省は、高速道路の休日上限1000円と無料化実験を19日(20日午前零時)で中止する。同割引を利用し、函館・道南を訪れる観光客も少なくなかっただけに、今後の影響が懸念される。関係者からは「東日本大震災からの客足回復に水を差すのでは」との声がある一方、「大きな変動はないはず」などさまざまな意見が聞かれる。
同割引は、景気対策の一環として、2009年3月28日から実施。09、10年の春の大型連休では、道南の行楽地は道内外の車でごった返し、この割引を利用して道央や道東方面から訪れたという声が聞かれた。割引の中止は、震災に対応した第1次補正予算の財源確保のためで、自動料金収受システム(ETC)の搭載車(小型、軽)を対象に土日、祝日の料金が上限1000円だったのが半額までとなり、道央自動車道で落部から札幌南まで1000円(小型)は、2650円となる(ETC非搭載は5300円)。
震災の影響で減少した観光客も、春の大型連休でばん回。夏からさらに活気が期待されていたため、宿泊施設からは割引中止を惜しむ声が聞かれる。
竹葉新葉亭(湯川町)は「例年6〜8月にお客さまが増えるので、正直なところ痛手。公共交通機関の事故があったことで、車での移動が増す可能性もあった。高速道路を気軽に利用できるように、この制度が長く続いてほしかった。ただ、どのような来客状況になるかは分からない」。ロワジールホテル函館(若松町)は「ゴールデンウイーク中は満館で、大震災による落ち込みから持ち直してきたところ。高速道路を利用しやすくすることは、遠出するきっかけになるので、この制度が長く続くのが望ましかった」と話す。
津軽海峡フェリーでも「お盆などは元々、人が往来するが、それ以外は動くメリットがないと車で遠くへ出掛けることは少ない。この制度は旅行する機会づくりになっていたので、大いに残念」としている。道央道の八雲パーキングエリアに直結する「丘の駅八雲パノラマ物産館」の運営会社、八雲観光物産センターは「高速道を気軽に利用できることで、道東から日帰りで函館に足を運ぶ人もいた。また、例年今の時期はアジア方面からの観光客らでにぎわうが、今年はさっぱり。この制度が終わることで、相当の打撃が見込まれる」と懸念する。
函館朝市協同組合連合会(若松町)の井上敏廣理事長(62)は「観光客減と、朝市の厳しい経済状況に追い打ちがかかる。経済を活性化しながら復興のための財源をねん出する政策を打ち出してほしかった」と注文を付ける。札幌へ年に数回車で向かうと言う柏木町の主婦、金田晃子さん(37)は「もともと景気対策とは言え、場当たり的な割引制度だった」とした上で「北海道も震災の影響を大きく受けたのに、全国的に中止するのは不合理。旅行を自粛せず、出掛けることも復興につながるという意見も多いのに」と指摘する。
一方、五稜郭タワー(五稜郭町)は「上限1000円は魅力的だが、震災復興財源確保のためにはやむを得ない。高速道路の利用が被災者救援につながることを考えれば、観光客もたくさん来てくれるのでは」とみる。また、函館大沼プリンスホテルは「道南には道内の人を引き付ける素晴らしい魅力があるので、来たい人に高速料金は関係ないと思う。逆に一般道経由の人が増えれば、高速道の混雑が緩和され、訪れやすくなるのでは」と話している。
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