公立学校 耐震化54.5%…函館市
update 2011/6/17 10:06
函館市内の公立学校で、震度6強以上の地震でも倒壊しない耐震基準を満たしている校舎・体育館の割合(耐震化率)は4月1日現在、54.5%にとどまっていることが分かった。学校の大半が市が指定する災害時の避難所だが、全体の3割が耐震診断すら手付かずの状態。東日本大震災で市民の防災意識が高まる中、肝心の学校の地震対策の遅れが浮き彫りになった。
市教委によると、市内の公立学校は小学校45校、中学校27校、高校1校、幼稚園2園の計75校で、棟数では計233棟に上る。このうち耐震診断が必要なのは、1981年施行の現行耐震基準の前に建設された132棟で、昨年度までに診断を終えているのは21校62棟。31校70棟は診断も行っていない。
震度6強以上の地震でも倒壊しない耐震基準を満たしているのは、82年以降に建設された101棟と、診断で基準をクリアしていた15棟の計116棟。診断の結果、21校47棟で補強が必要とされたが、これまでに改修が済んだのはわずか2校11棟で、19校36棟が依然として未着手のままだ。
市教委は2008年から本格調査に乗り出し、09年から耐震化の状況を公表している。昨年度は深堀小、東山小、五稜中の3校の体育館の耐震化を済ませたが、小中学校の耐震化率では前年度比1・8ポイント上昇の52.7%。昨年度公表された小中学校の耐震化率の全国(73.3%)、全道(60.6%)平均を大きく下回る。
国は震度6強の大地震に対する鉄筋コンクリート造の建物の耐震性を表す指標(Is値)を定めていて、数値が0・3未満の場合「倒壊または崩壊する危険性が高い」としている。市内では凌雲中体育館が0.10、亀田中体育館が0.13、青柳小校舎が0.18と低く、本年度に補強工事の実施設計に入る予定だ。
地震対策の遅れが目立つ背景には市の財政難がある。市教委は耐震化の優先度を調査し、危険度が高い順に補強工事を急ぐ方針だが「外注する診断調査だけで1校当たり500万〜1000万円、改築工事となれば数千万〜数億規模になる」(施設課)という。
一方、保護者の声は切実だ。小学5年の娘を持つ女性会社員(33)は「学校が崩れることなんて考えたこともない。現実的に建て替えが難しいのも分かるが、子どもが校舎の下敷きになってからでは遅い。震災の恐怖を感じた今だからこそ、避難訓練や防災対策に力を入れてほしい」と訴える。
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