工藤市長初の政策予算、18億円補正 一般会計1329億円

update 2011/6/15 11:01


 函館市の工藤寿樹市長は14日、就任後初となる政策予算を盛り込んだ本年度の補正予算案を発表した。一般会計は18億3200万円を増額し、当初予算も加えた総額は前年度当初比4.2%増の1329億2700万円となった。工藤市長が選挙政策の柱に掲げた「経済再生」に向け、商店街への支援交付金などを盛り込んだ一方、前市長が導入した校長先生の「知恵の予算」は廃止。東日本大震災対策の関連経費には約4500万円を計上した。30日開会予定の定例市議会に提案する。

 工藤市長は今回の補正予算案の編成について「4年間の出発点として厳しさを増す地域経済の再生を最優先課題と位置づけ、予算化できるものは盛り込んだ」と経済第一を強調。今後の政策については「行革でどれだけ財源を捻出できるかが鍵」と述べた。

 一般会計の補正額は骨格予算後の補正予算としては過去20年で最小規模。厳しい財政状況を踏まえ、主な財源に前年度繰越金8億8000万円を活用し、将来的な財源確保に向け、このうち半分の4億4000万円を留保した。財政調整基金からの取り崩しはしなかった。

 一般会計に特別、企業会計を合わせた補正後の全会計の総額は同0・6%増の2549億8700万円。一般会計の補正後の事業費総額は108億4600万円で、前年度当初予算より11億1800万円増えた。

 主な事業では、「元気いっぱい商店街支援交付金制度」を創設し、事業費4330万円を計上。各商店街が企画した販売促進事業や集客イベントに対し、参加店数に応じて交付金を最大300万円配分する。首都圏の有識者を招いて経済振興策を検討する「経済再生会議」の開催経費に250万円を盛り込んだ。

 また、都内のコンビニ店内の一角に「ミニアンテナショップ」を開設し、函館の地場産品の販売や観光情報を発信する事業費に380万円、東京事務所機能を持つ「函館観光物産館」(仮称)の開設検討調査費30万円を盛り込み、首都圏へのPR戦略も鮮明に打ち出した。

 震災関連では、他の融資制度が活用できず、業績が悪化している事業者向けに「緊急小口運転資金貸付金」として1950万円、市内被災者の見舞金に670万円、若松地区の防潮堤整備費に1000万円を計上。景気対策として公共事業の前倒し発注に3億円分を確保した。

 「知恵の予算」を廃止する一方、本年度からの新学習指導要領に対応した教材整備費に2250万円、地域人材活用・体験学習活動費に750万円を充て、私学助成も拡充した。若者向けのまちおこしイベントとして9月に緑の島で予定されている「HAKODATE黒船2011」の開催補助金も200万円を計上した。

 また、大口需要向けの下水道使用量の最大累進度のほか、青果物、水産物の地方卸売市場の施設使用料をそれぞれ引き下げ、企業の経営改善を支援する。一方、全面建て替えを検討中の市民体育館の整備事業費は今回は見送られ、JR函館駅前に建設を検討する集客商業施設についても「函館駅前市有地活用推進費」として50万円にとどまった。

提供 - 函館新聞社


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