「改革」鮮明に…工藤函館市長 就任1カ月
update 2011/5/27 10:04
函館市長に工藤寿樹氏(61)が就任し、27日で1カ月を迎えた。前市長の政権運営を批判して市政刷新を訴え、当選。特別職を一新し、教育長を初めて行政職から登用するなど“改革色”を鮮明に出しながら、最重要課題とする経済再生・市財政再建に向けた基礎固めに余念がない。6月の定例市議会に提出する補正予算案で、どれだけ“工藤カラー”を出せるかが注目される。
工藤市長は、前企業局交通部長の山本真也氏(56)の教育長起用について「もともと教員からの起用にはこだわっていない。街のデザインや文化、歴史に知識を持つ人材」と述べた。これまで校長経験のある教員出身者が就いてきた慣例をあっさりと打ち破ったことで、市民に「改革路線」を強く印象付けた。
副市長も行財政改革を担う中林重雄氏(62)、経済活性化担当の片岡格氏(56)と財務部長経験者で固め、部次長人事も4月1日付を含め、過去10年で最多となる37人を動かした。
工藤市長が選挙戦から一貫して掲げたのが、地元経済の再生と市財政の再建。6月の補正予算編成に向けて「まずは経済再生から始めたい」と、各種業界団体との公開懇談会を始めた。
最初に行った市商店街連盟との懇談では、イベント開催に向け、各商店街に対し上限300万円を支給する交付金制度について「6月にも予算計上したい」と述べた。既存の商店街等イベント開催支援事業補助金(1事業につき上限30万円)の10倍で、経済部が制度設計に当たっている。
一方、前市長の目玉政策で、学校長の裁量で自由に使える「知恵の予算」の扱いが焦点となる。本年度当初予算では5340万円を計上したが、工藤市長は真っ先に廃止を打ち出した。ただ「すでに本年度の事業に組み込んだ学校もあり、すべてなくせるかどうか」(市幹部)との指摘もある。商店街への交付金も知恵の予算と同様、各団体の使い道が問われている。 前市長との間でさまざまなしこりやあつれきがあった経済界との関係は一定程度改善される一方、「根回しはしない」(工藤市長)とする議会との関係も焦点。能登谷公議長は「ある時は後押しし、ある時はブレーキをかけながらやっていく」と、是々非々の姿勢を強調する。
30日からは補正予算に向けた市長査定が始まる。政策として掲げた医療費助成の中学生までの拡大などを行えば、新たに億単位の財源捻出が必要となり、扶助費などの必要経費と、政策に使える予算とのバランスをどう取るかが課題となる。
市長給与の50%カットは6月の補正予算に盛り込む意向だが、職員給与、退職金の削減や事業仕分けなど「聖域なき行革」の本格着手はこれから。6月末からは議会との本格的な論戦も待ち構える。「磨けば光る資源をさらに磨き、まち自体を三つ星にする」(工藤市長)ための手腕が問われる。
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