大間原発差し止め訴訟、原告側「活断層想定せず建設」
update 2011/5/20 10:23
青森県大間町に建設中の大間原子力発電所の建設反対を訴える市民団体「大間原発訴訟の会」(竹田とし子代表)が、建設差し止めと、慰謝料など総額510万円の損害賠償を国や事業者の電源開発(東京)に求めた、民事訴訟の第2回口頭弁論が19日、函館地裁(蓮井俊治裁判長)で開かれた。原告側は大間原発の建設には巨大活断層を想定していないと指摘。これに対し電源開発は「基本設計や基本的設計方針は、許可処分に係る安全審査において妥当と判断されている」と安全性を強調した。
弁論で原告側は、大間町の奥本征雄さん(65)と七飯町の酪農業、山田あゆみさん(38)の2人が意見陳述した。奥本さんは「(原発は)住民を賛成・反対に分けさせ、村社会を崩壊させた」と語気を強め、「住民の命と暮らしに対する国の安全審査基準がなっていない。今なら(建設中止は)まだ間に合う」と訴えた。山田さんは2人の子を持ち、現在妊娠中という母親の目線から「放射能によって生の育む営みができなくなるのは“死”を意味する。未来を奪うのはやめてほしい」とし、酪農業にも被害が及ぶことなどを指摘した。
続いて、原告側の弁護士3人がプロジェクターを使用し、福島第一原発事故の被害状況、その範囲を道南に当てはめるとどのような被害が起きるかなどを説明。その上で「(大間原発)は地震や火山、活断層などをほとんど想定しておらず、直下型地震が起きれば、原子炉・改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)はMOX燃料のため、より制御が困難になる」とした。
これに対し、事業者は「安全確保対策と線量評価の結果は、許可に係る安全審査を経ており、いずれも妥当と確認されている。また、基本設計などで、放射性物質の環境への異常な放出を防止し、公衆の安全を確保し得ると確認されている。地震、地質・地盤、火山における安全性は調査し、確保されている」とした。
同原発は、電源開発が函館市と津軽海峡を挟んだ大間町に建設中(現在は一時中断)。商業用原子炉(改良型沸騰水型原子炉)の全炉心に世界で初めて、使用済み核燃料を再処理して回収するプルトニウムと濃縮ウランを混ぜて作るMOX燃料を使用。次回の口頭弁論期日は9月8日。
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