函館市特別職人事固まる 教育長人事で賛否も

update 2011/5/14 10:47


 工藤寿樹函館市長を支える特別職の人事が固まった。副市長をともに財務部長経験者で固め、選挙戦で主張してきた行財政改革・経済再生路線を色濃く打ち出すとともに、教育長もこれまでの慣例を一新。その一方、これまで教育長ポストを独占してきた教育界には衝撃が広がり、教育委員会未経験者の起用に疑問の声も聞かれる。

 中林重雄企業局長の副市長起用は庁内外から「既定路線」との声が根強かった。工藤市長とは財務部長、次長としてタッグを組み、組合や一部議員の抵抗が強かった中で職員削減を推し進めた間柄。加えて04年から3年間は議会事務局長を務めており、ある市幹部は「議会からは非常に信頼されている」と語る。片岡格財務部長も財務畑が長い上、06年から2年間商工観光部(当時)に在籍した経験も踏まえ「(経済界と)顔のつながりもある」(工藤市長)として推した。

 教育長については「もともと教員からの起用にこだわっていない」(同市長)と、前例を打ち破った。山本真也企業局交通部長については「街のデザインや文化、歴史に知識を持つ人材」と評価し、施策の根幹を担う企画部に在籍した経験も買った形。企業局長に起用する秋田孝土木部長については「技術職にも希望を持ってほしい」とする。

 副市長、教育委員人事の最終決定権を握る議会の反応はどうか。ある議員は教育長人事について「以前は教育のことは教育長に“丸投げ”するようにも見えたが、これからはきちんとした考え方を示すのでは」と評価。別の議員は前市長が教育団体をバックに選挙戦に臨んで敗れたことを挙げ、「伝統を変えるべき」と話す。

 一方で“聖域”を奪われた形の教育界。道教育大函館校の出身者でつくる「夕陽会」の幹部は今回の教育長人事に「ノーコメント」と口を閉ざすが、ある教員OBの女性は「学校と行政の距離が遠くなるのは否めない。現場を知らないぶん、これを機会に積極的に足を運んで血の通った政策をしてもらいたい」と胸の内を代弁する。市内の80代女性も「新しい風を吹かせるつもりかもしれないが、教育は人生の基礎を作るうえでもっとも重要なこと。現場経験者の登用がやはり安全なのでは」と語る。

 ある議員は「前例がないだけに不安はある」とした上で「他都市では行政職から教育長を登用して成功している例もあり、期待したい」と見守っている。

提供 - 函館新聞社


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