南相馬から移住の加藤さん 函館で塾開業

update 2011/5/11 10:17


 福島県南相馬市から函館市に移住した加藤健さん(34)が近く、同市赤川町1に小中学生を対象にした学習塾「RANKUP(ランクアップ)」を開業する。新たな船出を控え、心機一転頑張りたいと意気込んでいる。

 加藤さんは南相馬市で学習塾を経営していた。震災によって家族にけが人は出ず、家の倒壊も免れたが、福島第一原発事故の放射能漏れが幼い子どもたちに与える影響を懸念。住み慣れた故郷を後に、妻の実家がある函館市へ向かった。

 現在は市内の道営住宅で家族4人と母信子さん、弟高樹さんと生活する。加藤さんは移住翌日からテナント探しを開始。「自分には働き手としての責任がある。落ち込んでいる時間はない」と開業に向けて走り続けた。

 塾は進学塾ではなく、勉強の遅れている子どもらを対象に、復習を重視して学ぶ楽しさを教える。また、経営が軌道に乗り次第、地元の大学生講師を雇う予定だ。加藤さんは「学生の多くが自分の能力を知りたいと思っている。社会に出る前に世の中を知るのは大切なこと」とし「職業体験の場を与え、社会人経験を積ませることで、函館に恩返しができたらうれしい」と決意を込める。

 5月の連休も休まず設営に臨んだ。作業は急ピッチで進められ、日に日に増えるテキスト類や、弟高樹さんが手づくりした机が並ぶ教室にやる気がみなぎる。「今春小学校に上がる娘のランドセルを持ってこられなかったが、それを知った函館市がランドセルを提供してくれた。娘はそれを背負い、元気に学校に通う。この姿がなにより励み。たくさんの応援に感謝を忘れず、この地で頑張りたい」―。

 震災で多くを失った。しかし、加藤さんはまっすぐと前を向き、新たな人生を歩み始めている。問い合わせはTEL0138・83・2405。

提供 - 函館新聞社


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