朝鮮人労働者を追悼

update 2011/5/4 11:10


 【松前】戦前から戦時中にかけ旧国鉄松前線建設工事に従事させられて亡くなった朝鮮人労働者を追悼する「殉難者慰霊法要」が3日、松前町唐津の専念寺で営まれた。参列者は同寺の境内にある慰霊碑の前で、犠牲者の冥福を祈るとともに、悲惨な歴史を語り継ぎ、平和な世界を作ることを誓い合った。

 戦時中、軍需物資の運搬を目的とした旧松前線の工事では、国内の労働力不足を補うため、朝鮮人らが強制連行され工事に従事させられた。厳しい自然環境の中、過酷な労働を強いられ、犠牲者の数は1000人を超すともいわれている。

 慰霊法要は、慰霊碑が完成した85年から毎年憲法記念日の5月3日に開かれている。今年で27回目。この日は在日韓国、朝鮮人や地域住民ら約80人が参列。境内に設置された「韓国鐘(しょう)」が鳴らされ法要が始まった。

 前田一男町長が「異国の地で家族を思いながら亡くなった方々には慰めの言葉もない。尊い犠牲の上に完成した松前線は北海道は発展のため大きな力になった」と追悼文を読み上げた。僧侶らが読経する中、参列者が一人ずつ焼香し、静かに手を合わせ犠牲者の冥福を祈った。

 法要に参列した在日本大韓民国民団函館支部の李勇光支団長(54)は「日本の人たちが20数年も先祖の人たちのために手厚い慰霊法要を開いてくれることに感謝したい」と語った。

 また、犠牲者の調査を行い、碑の文章も書いた七飯町の浅利政俊さん(80)は「今の世の中が世界の多く人々の犠牲の上に成り立っていることや平和について、憲法記念日に考える必要があるのではないか」と話していた。

提供 - 函館新聞社


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