西村さん 交通安全訴え全国行脚

update 2011/4/19 10:28


 軽自動車で全国を回りながら交通安全を訴える、十勝管内清水町出身の西村亙さん(86)が16日から、函館入りしている。不慮の事故で右足を切断しながらも、北海道の交通死亡事故が多いことを憂慮し、「自分にしかでいないことで、命の尊さを伝えたい」と、一人で活動をし続けてことしで24年目。自身のこれまでの経験を交えて「どうせ一回限りの人生。事故で死ぬなんてもったいない」。直筆の色紙に願いを込め、輪禍のない世界をとひた走る。

 西村さんが全国行脚に出向いたのは、退職後の64歳の時。故郷の北海道が死亡交通事故ワーストワンを記録、心を痛めたことがきっかけだった。1988年に道庁をオートバイで出発。各地の運送業者や役所などを回り、工津安全を呼び掛けてきた。

 しかし、2004年に旭川市で接触事故に遭い、右足の太ももから下を失った。親類の勧めもあり、療養していたが、交通安全に対する思いは強くなるばかりで、81歳にして運転免許を取得。左足でアクセル操作をできるように車を改造し、07年から行脚を再開した。年間平均5万キロを走行、これまでに100万キロ近くを走破してきた西村さん。

 宮城県を北上中の3月11日、東日本大震災に遭った。避難所での生活が2週間続いた。「多くの人たちの温かさに触れた」と振り返る西村さんは、この体験を通して「より強く命の大切さを考えるようになった」と話す。

 現在は、「至宝」などの言葉をしたためた書を販売し、子どもたちに文房具などを送る活動にも積極的に取り組んでおり、函館滞在中にも実施する予定だ。「ことし、来年には残す2県を制覇するつもり。人生100歳の時代だから、体力の続く限り頑張っていきたい」とほほ笑んだ。

提供 - 函館新聞社


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