伸び悩む函館市の自主防災組織

update 2011/3/28 11:54


 地元でとれた農水産物のブランド化を進めようと、函館市などは新年度に「函館農水産物ブランド推進協議会」を設立する。これまで水産物中心に行ってきた取り組みを農産物にも広げ、地元産品の販路拡大と生産者の所得向上を目指す。早ければ4月下旬にも立ち上げる方針だ。

 市は2004年の旧4町村との合併を契機に、07年に市内5漁協と「函館水産物ブランド推進研究会」を設立。漁協ごとに衛生管理マニュアルの作成や、はこだて湯の川オンパクでの料理教室といった取り組みを通じて消費拡大に努めてきた。

 新年度からはこれに新函館農協と函館市亀田農協が加わり、新たな協議会を設立。生産物の付加価値を高めることと生産者の所得向上をメーンに進める考えで、具体的には他地域の成功事例を学ぶ講習会や、消費者のニーズに対応した販売活動、地元以外への販路拡大などの事業が想定される。

 市内の代表的な農産物としてはジャガイモ、ニンジン、ダイコンなどが挙げられ、すでに流通 災害発生時に地域住民が自発的に防災活動を行う「自主防災組織」。函館市内では、町会単位での発足が年々広がりを見せる一方、担い手の高齢化や組織の形骸化も指摘されている。東日本大震災を教訓に、対策を練り、組織発足を目指す動きもあるが、関係者は「高齢者中心の素人にできることは限られている」と苦しい胸の内を明かす。

 自主防災組織は、防災訓練の実施や知識の普及を通じ、地震や津波の発生時に迅速に対応できる組織づくりを目指す。函館市では2000年施行の自主防災組織育成指導要綱に基づき、各町会に設立を呼び掛けている。設立町会には消火器や毛布、車いす、発電機などの防災資機材を無償で貸し付けるが、組織を立ち上げるかどうかは各町会の自主性に委ねているという。

 市総務部防災担当によると、11年3月現在の組織数は186団体中61団体。03年度以降は毎年度4〜10団体が設立しているが、役員の高齢化などから、ここ2年間の新規登録数は4団体にとどまる。

 今回の震災で津波被害に遭った豊川町会(敦賀敬之会長)は5年前に結成。消防団員を招いた消火器訓練や関係者による協議などを定期的に行うが、「想定外の災害では何もできないのが現状」(敦賀会長)。町内の大半はベイエリア地区同様に海抜0〜1メートルで、一部は浸水した。敦賀会長は「我々素人に油断があったのは確か。今後は会員を集め対策を練りたい」とした上で「市が中心となり、災害に強いまちづくりを目指すべき」と提言する。

 住吉町会(長谷唯一会長)は、今回の大震災を受け、青柳小や潮見中などの高台へ避難する緊急ルートを柱に、新年度にも組織を発足する方向。これまで防災器具の置き場所確保に悩まされてきたが「高齢者も多いからそうも言っていられない。当町会の実情に合わせた組織づくりができれば」と関係者。

 また、組織はあるが、平常時の活動がない町会も。ある町会関係者は「発足させたものの、何の活動もしていない。こうした町会は少なくないと聞く」と組織の有名無実化を指摘。ただ、防災器具については「お年寄りばかりとは言え、万一の事態で救命につながる活用は期待できるはず」と話す。

 市では、各町会の防災部長を対象に研修会を開いたり、毎年9月に全市的な防災訓練を行ったりして意識向上にも努めている。市総務部防災担当は「町会への強制力はないが情報提供や訓練など協力は惜しまない。地域のニーズに合わせ組織を発足してもらえたら」と話している。経路が確立されているだけに、付加価値をどう高めていくかが課題となっている。

 市の新年度予算案には協議会負担金25万円を計上。市農林水産部は「付加価値を高めるには加工策の工夫や、販売先などの拡大が必要。農協、漁協の意見を聞きながら検討していきたい」(企画調整課)と話している。

提供 - 函館新聞社


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