旅行業界 大打撃 ホテルなどキャンセル殺到
update 2011/3/17 11:25
東日本大震災を受け、全国的に旅行を控えようという動きが広まっている。函館市内の湯の川温泉や西部地区のホテルなどには数千人単位で予約のキャンセルが相次ぎ、ゴールデンウイーク以降への影響も必至の様相。JRでは本州方面の旅行がゼロに等しい状況となるなど、国際観光都市・函館は厳しい状況に立たされた。
「観光は平和産業だと痛感した」と暗い表情を浮かべるのは、函館湯の川温泉旅館協同組合(22軒)の金道太朗理事長。加盟する宿泊施設には12日から宿泊キャンセルが相次ぎ、大規模ホテルでは3月だけで1000〜3000人分が取り消された。
漁業関係者や企業、学校などが予定していた宴会の中止も多く、書き入れ時の打撃は大きい。金道理事長は「新幹線で来函を予定していた個人客のキャンセルが特に目立つ。ことしは新幹線効果か、例年より良い傾向が見えていた矢先だったのに…」とショックを隠せない。
各旅館レベルでは、引いた分を関東・関西以南からの集客で取り戻そうとする動きも若干みられるが、被災地の状況から大々的にはできないのが現状。「早く平和を取り戻してほしい」と祈る。
西部地区では被災したホテルにもキャンセルの荒波が押し寄せた。海水が入り込んだホテルラビスタ函館ベイ(豊川町)では、通常は満室になる週末の予約率は半分にまで落ち込んだ。「東京方面からの交通手段がないということで、電話回線が復旧した13日から取り消しの連絡が相次いでいる」。19日からの3連休の稼働率は50%を超えるか微妙で、平日は30%ほど。「通常通り営業しているので来てほしい」とする。
JR北海道函館支社によると「JRを使った旅行では本州向けはゼロに等しい」。運行が安定した道内間の移動も控える向きがあり、「新幹線効果は帳消しになった」と嘆く。
JR函館駅は、運休になった列車の払い戻しを求める人がいるほかは、普段よりも来客は少ないという。12日出発の新婚旅行で寝台特急カシオペアのスイートに乗るはずだった宮前町の小松由美子さん(32)は、「夫は残念がって泣いていました」。
JTB北海道(札幌)にもキャンセルが殺到。同社は「顧客対応を優先させており全体的な状況は分析できていない。ゴールデンウイークについては全く分からない」という。
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