食品工への発注増、原料確保に懸念も…東日本大震災
update 2011/3/16 10:07
東日本大震災で東北地方を中心に工場が稼働を停止したことから、道内には思わぬ需要が生まれている。大手スーパーなど小売店が商品を確保しようと、通常通り操業を続ける道内や道南の工場に多くの出荷を要請。各工場は増産体制で臨む一方、原材料確保への不安にさらされている。また災害用の備蓄食品も注文が相次ぐ。
水産加工の布目(函館市弁天町)には関東や関西のスーパーから、塩辛などの引き合いが多く寄せられた。15日の受注は通常の1・5倍。製造量を増やして対応し、関東以南には日本海側を通り新潟から高速道路を使うなどして配送する。同社は「被災地のことを思うと決して喜べない」という複雑な心境だ。
原材料については「当面は在庫で大丈夫だが、八戸の被害でイカの確保が不安。今後は農産物被害も表面化するだろう」とし、松前漬けに使用するニンジンについても神経をとがらせる。
「函館牛乳」で知られる函館酪農公社(同市中野町)には、取引のなかった企業からも乳製品を求める声が相次いだ。以前から青森や仙台を中心に出荷はあったが、青森からの発注は通常より35%ほど増加した。原料となる生乳の生産量が限られており輸送時の燃料も制限されていることなどから、関東向けは断り、青森向けを優先的に出荷。震災の影響としては「機器トラブル時の部品確保も心配」とする。
函館市昭和に工場を持つ日糧製パン(札幌)は、青森県からの要請に対応したほか、仙台などのパンメーカーから供給を断たれた大手スーパーから取引を求められた。「各取引先から通常の2〜3倍の引き合いがある」一方で、原料ショートを懸念。「クリームパンのクリームや、フィルムなど包装材が心配」とする。
今後の災害に備えようとの動きも。備蓄用の乾パンを販売する北海道製菓(同市大縄町)には14日から、通常の2倍程度の注文が殺到している。被災地の周囲のほか関東など本州からの問い合わせが特に多いが、東北地方の輸送が厳しいためやむなく断る状況。道内全域からは個人の問い合わせが多く、同社は増産体制で需要に応えている。
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