大津波 函館朝市の被害甚大…浸水住宅で男性死亡

update 2011/3/13 10:29


 東日本を襲った巨大地震の発生から一夜明けた12日、津波の被害を受けた函館市内では、朝市周辺やベイエリアなどで生々しい爪痕が現れた。若松町では浸水した平屋アパートで男性1人が死亡。朝市では津波にのみ込まれた商品や什器(じゅうき)でがれきの山に。冠水、停電、交通遮断、建物の損壊…。未曾有の惨状に関係者は終日、復旧作業に追われ続けた。

 市内で壊滅的な打撃を受けた函館朝市。日が昇るにつれて被害があらわになり、通常より早く駆け付けた店の関係者は水浸しになった商品を外に出したり、店の奥まで入った泥水をはき出したりと、ぐちゃぐちゃに散乱した店をため息交じりに片づけた。

 「経験のない津波を甘く見てた。変わり果てた店の姿を見た瞬間、声を失った」。朝市で3店舗経営する水産物販売の丸和すがわらの菅原征良専務(38)は津波の衝撃に驚きを隠せない。11日午後5時ごろの第1波、同7時ごろの第2波、同11時半ごろの第3波―。次々と海水が店内になだれ込み「損害額は1000万円近い」という。

 11日は南側の深い場所で1b60aほど冠水し、消防の救命ボートで助け出される関係者も。12日は関係者が店内の商品や資材を次々と店頭に撤去。中には生きたままのカニやエビ、ホタテもあったが、「何一つ売り物にならない。残ったのはごみだけ」とカニ販売店の女性従業員(39)は吐き捨てた。

 付近では11日夜、電車通りやJR函館駅前交差点まで冠水した。ホテルニューオーテ(若松町8)の斎藤利仁社長は「一時は腰まで浸かるほど。予約客のキャンセルも相次ぎ、多くのお客様に他のホテルに移ってもらった。今後の入り込みに影響は必至」とあきらめ顔だった。

 市は12日午前8時半から、全部局の職員300人体制で朝市の清掃作業を手伝った。廃棄したごみは収集車で50台以上。「本当に助かった」と感謝する朝市関係者は多い。視察した西尾正範市長も「保健所とも連携し、今週中にも市として支援策をまとめなければ」と語った。

 西部地区のベイエリア周辺の店舗やホテルにも津波の余波は広がった。土産店にレストランを併設する「船遊食甘」(末広町22)では、午前6時から社員総出で清掃。建物に被害はなかったが、浸水で電気、ガスが寸断され、冷凍土産などに損害が出た。

 ラビスタ函館ベイ(豊川町12)も浸水で1階全館のフローリングを張り替える必要があり、すべての復旧までには数カ月は掛かるという。高橋浩司総支配人(57)は「被害は数千万円になるのでは」と肩を落とす。

提供 - 函館新聞社


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