西尾氏、工藤氏「公約」で前哨戦
update 2011/2/19 09:58
函館市長選は告示(4月17日)まで2カ月を切った。出馬を表明している現職の西尾正範氏(62)と工藤寿樹氏(61)はともに公約を発表し、支持拡大に向けた活動を強めている。両氏とも各般の施策を打ち出した中、西尾氏が子育てや教育、福祉関係を重視している一方、工藤氏は地元経済再生や市財政の再建を掲げている。市役所出身者同士の一騎打ちとなる公算が大きく、両陣営とも「政策による戦い」に持ち込む構えだ。 (統一地方選取材班)
●政策の違い
西尾氏は前回同様、「教育立市・人材育成都市の実現」「地域産業振興と雇用環境の向上」を重点目標とした中で86項目の公約を並べた。 健康づくりや子育ての充実、市民自治といったソフト面の施策が多く、主なものでは町会館を活用し、退職教員が子どもの指導に当たる「寺子屋」の創設や、1期目の目玉施策「知恵の予算」の大学・企業への拡充、ボランティア活動に対するポイント制度の創設などを挙げている。
一方の工藤氏は「躍動する経済都市」「日本一の福祉都市」など4点の将来像を提示するとともに、92項目の施策を打ち出した。
経済再生会議や財政再建推進会議など、新たな会合の場を設けるとするほか、低迷が続いている駅前・大門地区の活性化策として官民を複合させた商業施設の建設をはじめ、市民ギャラリーの創設、高齢者サロン開設、空きビルを活用した建設産業会館の設置などを盛り込んだ。
中には共通する部分も多く、「函館国際水産・海洋都市構想」の推進や一次産業の後継者育成、スポーツ合宿の誘致、中国・台湾・韓国からの外国人観光客誘致や貿易促進といった面が挙げられる。
●活動活発化
西尾氏陣営は水産業界や教育・文化関係団体を中心に支持を広げている。企業訪問や支持者回りでは1期4年の実績をアピールするとともに、政党からの推薦や支持は受けずに無党派で臨む。
後援会幹部は「知恵の予算やアウトリーチ事業などが現場で喜ばれている」とした上で、「前回のような風やブームはなじまない。ものの考え方を変えようと4年間進めていった中で、積み上げてきた実績を訴えていきたい」と地道な取り組みを続ける考え。
工藤氏陣営は建設、商業関係団体から数多く推薦を取り付けた。企業や各種団体へのあいさつ回りを進める中で、西尾氏との政策の違いを強調。選対幹部は「特に中小・零細企業で共鳴してくれる人が多い。期待度の高さは今の閉塞感の裏返し」と手応えをにじませる。
昨年から続けている本町交差点や美原地区、JR函館駅前などでの街頭演説は既に120回を超えた。「新人ゆえ、知名度がない分は政策で勝負するしかない」と話す。
●政党の動向
工藤氏は自民、民主、公明に推薦願を出しているが、西尾氏は推薦を受けない方針。
民主党道8区総支部(逢坂誠二支部長)は14日に独自候補の擁立を断念するとともに自主投票を決めたほか、自民党函館支部(川尻秀之支部長)も19日に役員会を開いて対応を協議する。
公明党函館総支部(茂木修支部長)も今後検討する考えだが、「道議選候補の当選が最優先」としており、優先順位は高くない。
ある政党関係者は、西尾氏と井上博司前市長が争った前回と比較して「福祉施設建設の許認可問題が持ち上がったことで大差がついたが、今回はそうはならない。両氏に優劣はなく、きっ抗している」と分析。政策の違いが勝敗の分かれ目になると強調する。
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