生活保護費 新年度予算200億突破…函館市
update 2011/2/13 10:21
函館市が発表した2011年度の生活保護費は208億8300万円で、当初予算で初めて200億円の大台を超えた。高齢化や不景気などにより保護者は増加の一途をたどり、伴って増加する保護費は市財政を圧迫。10年度予算でも今後さらなる増額補正を予定しており、「減る要素が全くない」(市財務部)状況に関係者は頭を抱えている。
函館市の保護費の当初予算は、1985年に100億円を超え約103億円に。その後は増減を繰り返すが、94年から増加傾向となった。最近では年度途中の大規模な予算増額が当たり前となり、市の予測をはるかに上回るスピードで保護者が増え、20年ほどの短期間で2倍となった。
背景として、08年秋の世界金融危機や長引く景気低迷がある。世帯類型別での増加が目を引くのは、65歳未満の働ける世帯だ。市福祉事務所は「ここ数年は、仕事や収入のない状態が長く続いた結果として預貯金を使い果たし保護を受けるケースが目立つ」とする。
加えて加速する高齢化も大きく影響し、高齢者世帯の割合は保護世帯全体の41.8%(昨年12月)に。保護費用のほぼ半分を占める医療費は特に伸び率が高く、10年度決算見込みでは保護費全体が前年度比16%増に対し、医療費は同19%増だ。
全国や道内、道南でも保護者は増加傾向にあるが、函館の増加ペースは時に「異常な事態」(市福祉事務所)と評されるほど。道内での保護率の高さは昨年12月、最も多い釧路53.0パーミル(パーミル=人口1000人当たりの被保護者数)、三笠44.7パーミルに次いで3番目の44.5パーミルだった。
同7月にこの位置となって以来三笠との差は狭まり、もはや追い抜く勢い。同月の保護率、保護者・世帯数は過去最多を更新した。10年度予算は当初の193億円に増額補正を繰り返し、18日にも約3億8000万円を積み上げる補正予算案を発表する。10年度の決算見込み額は約209億円で、過去最高となる。
◇新たに就労等意欲喚起プログラム事業 函館市はこれまでも保護者の自立支援を目指した事業を展開してきたが、11年度は新たに「就労等意欲喚起プログラム事業」で、異なる角度から働く意欲向上に努める。
新年度予算に計上する費用625万円は、全額を道の「安心生活支援事業費補助金」で賄う。専門的知識やノウハウが必要となるため、4月以降に実施する事業者を公募で選定。事業開始は8月以降となる見通しで、働くことが可能な保護者を対象にカウンセリングを行い、ボランティア活動や就労体験、居場所づくりなどを通して自立を促進する。
道内では釧路や旭川などで既に行われている。函館市の対象者は約1000人。市福祉事務所は「社会での居場所を作ることができない保護者に対し、社会参加や就労につながるきっかけをつくりたい」と期待する。
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