11年度予算編成大詰め…西尾市長による査定開始

update 2011/1/28 10:37


函館市の2011年度予算編成が大詰めを迎え、27日から西尾正範市長による査定が始まった。4月に市長選を控えているため、予算計上は継続事業や必要経費にとどめる「骨格予算」となるが、不況下で生活保護など扶助費の増加が続いており、財源確保は苦しい状況。市税収入の落ち込み分を、赤字穴埋めのための退職手当債発行で補わざるを得ない情勢となっている。査定は2月2日まで行う予定で、同10日に新年度予算案を発表する。

 この日は市役所会議室で、午前10時から査定を開始。西尾市長は財務部幹部から歳入、歳出の見通しや、継続事業として本年度末から2カ年で建設工事を行う市立障害児・者3園統合施設(湯川2、総事業費13億8000万円)などについて説明を受けた。

 西尾市長は「政策予算を計上することはないが、誰が市長になっても課題は残る。準備だけはしたい」と述べた一方、「扶助費の伸びを全体のフレームの中で飲み込ませることができるかが課題」とする。

 扶助費は本年度当初ベースで354億900万円を計上したが、大半を占める生活保護費は長引く不況の影響で、過去最高の205億円まで膨らんだ。加えて、政府の「子ども手当」も新年度から3歳未満を2万円に引き上げる方針で、自治体財政をさらに圧迫する。全国各地で負担拒否を表明する自治体が出ている中、同市長は「全国市長会などの裁きに従う」と、拒否しない姿勢を示している。

 一方、国は11年度の地方財政計画で、地方税収を企業の業績回復などで前年度比2.8%増と見込む一方、後に交付税で償還される臨時財政対策債を同20.1%減とする方針を打ち出している。

 これに市財務部は「国は大都市での景気上昇を見込んでいるが、地方は税収が減る要素があっても増える見込みはほとんどない」と困惑の表情。「退職手当債の発行も、財政運営上やむを得ない。扶助費の持ち出しが増える中で、どうバランスを取るかが課題」と話している。

提供 - 函館新聞社


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