「陸の国境」標石の複製展示…市中央図書館で樺太展
update 2011/1/21 10:11
函館市中央図書館(五稜郭町26)で20日から「樺太国境標石と樺太絵葉書展」(北大スラブ研究センター、同館など共催)が始まった。樺太(サハリン)で旧日露間に引かれた国境を示した第3号標石の複製などを展示している。かつて存在した「陸の国境」は、著名な文人らが足を運んだ。複製された標石は現在足を踏み入れることのできない土地の貴重な資料として注目を集めそうだ。
北大総合博物館の木山克彦研究員によると、標石は昨年2月、日本に陸の国境があったことを示す文化的価値が高いものと判断し、北大スラブ研究センターで複製を作った。函館では初の展示となる。木山研究員は「実際に複製に触れられるこの機会に、日露の歴史や樺太について知ってもらえれば」と話す。
国境標石は1906年、北緯50度線に沿って樺太のほぼ中央に4基設置され、国境線以南が日本領土となった。四方を海に囲まれた日本には陸地の国境線がなかったことから、児童文学者の宮沢賢治や詩人の北原白秋なども足を運ぶ名所として名をはせた。当時の日露国境線では観光客が国境をまたぐこともしばしばあり、両政府も特に関心を示さなかった。
しかし、38年に女優岡田嘉子と演出家杉本良吉が第3号標石付近から越境し亡命。翌年の39年、日本政府は国境取締法を制定して規制した。現在では明確な占有国のない「空白地帯」となっている。
展示会場を訪れた函館市内の男性(63)は「日露の国境を示す標石があったことを初めて知った。樺太が身近に感じられる」と話していた。展示は2月15日まで行われる。
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