「歌集『一握の砂』を讀む」初の単行本化
update 2011/1/4 14:27
石川啄木(1886―1912年)の第一歌集「一握の砂」の刊行を受け、啄木の親友で義弟でもあった歌人・宮崎郁雨(1885―1962年)が函館日日新聞に連載した「歌集『一握の砂』を讀む」を初めて単行本化した「―啄木と郁雨―なみだは重きものにしあるかな」が、このほど桜出版者(東京)から出版された。啄木研究家の遊座昭吾さんが「一握の砂」刊行100年を記念し編集したもので、郁雨に対する啄木の返信である「郁雨に與ふ」も併録し、二人の熱い友情関係を伝えている。
新潟県に生まれた郁雨は4歳で函館に移住。兵役を終え帰函すると1906年に文芸結社「苜蓿社」(ぼくしゅくしゃ)の同人となり、07年1月に、「紅苜蓿(べにまごやし)」第1号を刊行。ここに啄木が詩を寄稿した縁から、同年5月に啄木を函館に呼び寄せることになる。08年4月に啄木は東京に引き上げるが、その時家族を郁雨に託していく。郁雨はその後、啄木夫人の妹と結婚し、啄木とは義理の兄弟の関係になっている。
「歌集『一握の砂』を讀む」は、1910年12月から11年3月まで45回にわたって連載された書評で、現物は函館市中央図書館にのみ保管されている。一部が欠損したり印刷が乱れていたりする原本を、遊座さんが丁寧に読み取り活字化を行った。
同書の巻末に解題「苜蓿社・函館日日新聞と斉藤大硯」を執筆した函館在住の文学研究科で国際啄木学会元理事の櫻井健治さんは「これまでは函館中央図書館でマイクロフィルムでしか確認できなかった貴重な文献が、このような形で出版されたことは大変喜ばしい。ぜひ多くの人に手に取ってもらいたい」と話している。
定価1000円。大型書店で取り扱う。
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